さてさて皆様おまちかね、世界中のちみっ子から大人まで大人気、
百獣の王である大っきなにゃ
んこといえば、もちろん
アフリカのサバンナに棲むライオンさんです。
「アフリカの〜」と紹介した直後で申し訳ないのですが、実はライオンが住んでいるのはアフリカだけでなく、
はるか遠くインドには「インドライオン」という
別のライオンが棲んでいます。インドライオンも正真正銘のライオンの仲間で、別の亜種(動物の種をさらに細かく分類したもの)に属します。
インドライオン
さんのことは後でまとめてお話しするとして、まずはおなじみアフリカのライオンさんについて紹介しすることにしましょう。
ライオンは
トラや
ヒョウ、
ジャガーの
3種類とともに
ヒョウ属と
いうグループに分類
される動物で、
トラに次ぎ世界第2位の体の大きさを持つネコ科の動物です。特に
オスのライオンはメスよりも大きくなり、全長2.4〜3.3m、体重は150〜250kgに達します。一方の
メスは全長2.1〜2.5m、体重
120〜180kgぐらいです。これまで野生で見つかったライオンの最も大きかったのとして一般に言われているのが、ケニア
にあるケニア山でしとめられ
たオスのもので、
体重が272kgもあったとされています。
しかし不確実ながら300kgを超えるライオンを目撃したとかしとめたとかいう話は数多くあ
り、実際にどの程度まで大きくなるのかはよくわかりません。一方動物園などで飼われているライオンは栄養価の高い食べ物を十分に与えられるため、肥満して
しまう傾向があるらしく、
中に
は400kgを超える者もいるそうなのです
が、そんなに太って大丈夫なんでしょうか??
ライオンといえばやはりすぐに思い浮かべるのが、そのフサフサとした
たてがみです。たてがみはオス
のライオンにだけについていて、メスには見られません。
また全てのネコ科の動物の中でも、たてがみを持つのはオスライオンだけです。このたてがみはオス同士の間でも色が薄いものから濃いものがあり、たてがみの
量も
多かったり少なかったりと様々で、オスが3歳ぐらいのころから育ち始めます。ちなみに各地の動物園に飼育されているオスライオン達を観察すると、寒い所に
いるライオンほどたてがみの量が多くなる傾向にあるようです。(自然のマフラー?)またケニアのツァボ国立公園には全くタテガミを持たないライオンのグ
ループがいるそうです。
たてがみがオスライオンにとってどういった役に立っているのか、様々な説があ
りますが一つには
体を大きく見
せることで、敵に対する威嚇の効果があるとされています。また
メスライオンたちは交尾の相手として、よ
りフサフサとしたたて
がみを持っているオスを選ぶともいわれています。実は統計的にはより濃い色のより量の多いたてがみを持っているオスほど健康であるといわれ
ており、メスは
より強い子孫を残すためにたてがみの立派なオスを好むのかもしれません。
また他のネコ科のものに見られない特徴として、ライオンは長さが70〜100cmぐらいの尻尾の先に黒い毛で出来た房(ふさ)をもっています。なぜライオ
ンだけがこの房を持っているのかはよくわかりませんが、尻尾の先端にある細い骨を守るためなのではないかという意見もあるそうです。
一方トラやヒョウなどのライオン以外のネコ科の動物の多くはその体に黒い色の独特の模様を持っていますが、ライオンにはそういった模様はなく全身が黄褐色
から赤みを帯びた黄色い色の毛皮で覆われており、身体の下側では白っぽくなっています。また彼らのヒゲが生えている部分には黒い点々がありますが、この並
び方や点の数は個体ごとに異なり、それぞれのライオンを見分けるのに使われているそうです。
ライオンはアフリカ大陸の中でも
サ
ハラ砂漠より南の地域に分布しており、特に東アフリカと南アフリカに数多く見られます。
彼らが住んでいるのは主にアカシ
アなどの木がまばらに生えるサバンナで、それ
以外にも森や林、山岳地域にも見られますが、熱帯雨林と砂漠には全くいません。アフリカの中でライオンが棲む
最も標高が高い場所はエチオピアにあるバレ山脈で、ここにはなんと
標高4240mのところにライ
オンの群れが棲んでいます。またサバンナにはライオン以外
にもいろいろな肉食動物が棲んでいますが、彼らはアフリカでブチハイエナに次いで2番目に多い肉食動物です。
ライオンが狩
りを行うのはほとんど夜の間で、日中はほとんど眠っています(休みの動物園に行ってもゴロゴロしているだけのライオンが多いのはこのためで
す)。彼らは一日のうちの
20時間も睡眠に費やし、それ以外の行動はすべて残りの
時間で行われます。研究によると、彼らは一日のうちおよそ2時間ぐらいを獲物などを探して歩き回るのに使い、50分ぐらいを食事にあてているそうです。
ライオンが最も多く食べているのは
大
型の草食性ホ乳類達で
ヌーやインパラ、シマウマ、アフリカスイ
ギュウ、イボイノシシなどです。これらの
動物の体重は大体50〜300kg程度ですが、時にはトムソンガゼルやスプリングボックのような体重の軽いレイヨウの仲間なども襲います。また大型の
獲物がいないところでは鳥やげっ歯類、魚、ハ虫類や両生類といった小型の獲物を取ることもあります。
ライオンは一
般に群れをなして生活する動物で、その基本となるのが「プライド」と
呼ばれる2〜40頭(平均13頭ぐらい)のライオンから成るグループで
す
。プライドは1頭もしくは
2〜3頭のオスを中心としており、その他には数多くのメスライオンと子供のライオンたちが含まれます。群れの行動範囲は
獲物となる動物の量によって変化し、獲物が多いところでは20平方キロメートルぐらいですが、少ないところでは400平方キロメートルぐらいの広大な範囲
を移動します。プライドの中で
餌
を狩るのは主にメスライオンの役目で、
オスは狩りにはほとんど参加せず、主に外
敵や他のライオンから群れを守ります。メスライオンたちは複数の集団で狩りを行い、非常に連携の取れた戦術を使って獲物をしとめます。
一般にライオンは体の大きなオスのほうがメスよりも力が強いのですが、例えメスライオンでも普通の動物であれば襲われればひとたまりも
ない強さを持っています。またメスライオンは走る速度も速くて
時速60km近い速度で走ることが出来ます。しかしなが
らこのスピードで長い距離を走るこ
とはできないため、狩りの最初彼女たちはまず獲物に十分近い距離まで近づく必要があります。このため彼らは大抵敵に見つかりにくい夜に狩りを行い、草など
の茂みに隠れながらゆっくりと近づいていきます。またこの時、一方向だけから近づくのではなく全体から取り囲むような陣形を取ります。そして獲物から
30mぐらいの距離まで近づくと、一気にとびかかって引き倒し、最終的には獲物の首を噛んで気道をふさぎ、窒息死させて殺します。メスライオン同士の間に
は
役割分担があり、それぞれ得意な分野があるようで、獲物にとびかかるものの他に、その後ろで第一撃をかわして逃げてくる獲物を狙い撃ちするものなどもいま
す。このような熟練した戦法を使
う
ライオン狩りの成功率はおよそ30%であると
いわれています。
ライオンは草食動物以外にもブチハイエナやヒョウ、チーターなどの他の肉食動物も日常的に殺しています。また狩り以外でも病気やけがで死んだ動物の死体
をあさったり、他の肉食動物がしとめた獲物を横取りすることもあります。このためヒョウはライオンを非常に恐れ、獲物を狩るとすぐ木の上に引き上げて隠し
ます。しかしライオンでも特にメスは木に登ることが出来、木の上にあるヒョウの獲物までもかっさらってくることがあります。
ライオンは非常に大食漢で
一度
に30kgもの肉を食べることが出来ます(同
じ体重だった場合、人間でいうと10〜15kgぐらいの肉を食べるのにあたります)。もし獲物が大きすぎて一度に食べることが難しい場合は、数時間おきに
分けて食べま
す。もちろん彼らは毎日獲物にありつけるわけでなく、時には全く餌を食べずに過ごす日もあるのですが
、一般にはオスであれば一日に平均7kg、メスであれば5kgの餌を必要とすると言われています。
ライオンは力も強く、爪や牙も大きくて、アフリカ大陸では彼らの右に出る肉食動物は存在しません。しかしそんな彼らでも
主に相手とするのは体重550kg
までの獲物だけで、それより大きなものになると襲ったライオンが逆に返り討ちにあう危険性があるため通常は手を出しません。しかし餌の少な
い時など、背に
腹を変えられない状況になると
サ
イやキリン、カバなどの自分たちよりも
ずっと大きな動物に対しても戦いを挑むようになります。そして
相手が強すぎてメスラ
イオン達では太刀打ちできなくなると、より強いオスライオンも狩りに加わって群れ全体で獲物を襲います。ちなみにオスライオンはメスライオ
ンとは比較にな
らないぐらい強いそうで、複数のメスライオンが倒せない動物をたった一匹のオスライオンが一撃で倒すこともあるそうです(ガ○ダムやスー○ーサ○ヤ人みた
いですねぇ。)。しかしそれでもキリンの蹴りの一撃などはライオンの頭がい骨を割ってしまうぐらいの威力があるので、彼ら自身も命の危険と常に隣り合わせ
の狩りとなります。
しかし広大なアフリカ大陸にはキリンやカバよりも強力な草食動物が存在しています。それこそが最大体重7トンを超える
アフリカゾウで、
その群れに出くわす
とライオンたちはゾウを怒らせないよう、まず間違いなく道を譲ります。ライオンがアフリカゾウを狩ることはないのか、疑問に思う人も多いかもしれません
が、このような関係のため
一般
にはアフリカゾがライオンの獲物になることはないと言われています。ですが
昔からライオンがゾウを殺したという目撃
談は数
多くあり、ライオンに殺されたと思われる死体も見つかっています。これらの逸話から一部の人にはライオンはアフリカゾウを倒すことが出来る
のではと疑問が持たれてきたのですが、近年
ボツワナに置いて
ライオンとアフリカゾウの非常に気に
なるケースが報告されています。
事件が起きたのはボツワナのサブーチ川周辺の地域で、事の発端は非常に飢えたライオンの群れがアフリカゾウの子供を襲ったというものでした。さすがのアフ
リカゾウも子供の頃は身体が小さいため、群れからはぐれた子ゾウがライオンに襲われるという事例は過去にも数多く報告されていました。しかし今回のケース
では、
子ゾウを襲ったこのライ
オンの群れは次第により大きな青年期のゾウも襲うようになり、最終的には完
全に大人のゾウも餌食となるようになってしまったというので
す。
通常であればゾウ達は大人を中心とする群れを作っており、そこへライオンの群れが攻撃を仕掛けても返り討ちになるか、下手すれば殺されてしまうだけです。
しかし
サブーチ川のライオンた
ちはゾウの群れをしつこく監視し、たまたま群れからはぐれたものに標的をあわせて、30匹もの大群で一度に襲いかかるという戦法を用いました。
また昼間で
あればすぐに仲間のゾウが襲われたゾウを助けることが出来るのですが、ライオンはゾウの眼が見えない夜に攻撃を仕掛け、正に魔物のように獲物を狩っていっ
たのです。
この様子はナショナルジオグラフィックやBBC製作のドキュメンタリー映画「earth」でも公開され、何匹ものライオンがアフリカゾウの体中にとびかか
る、非常にインパクトのある狩りの様子が明らかになりました。ただこのような行動をとるのはこの地域のライオンたちだけであり、他の地域ではまず危険なア
フリカゾウに手を出すことはありません。実は
ライオンにはある一定の獲物だけを好んで
襲う傾向があり、ヌーなどの大型の偶蹄目ばかりを襲う群れや、もっと
小型の動物を主に食べる群れなどが存在します(南アフリカのクルーガー国立公園にいるライオンはキリンを定期的に狩っているといいます)。
そして今回の事
例ではこの群れ全体の食性がアフリカゾウに特化したために起こったのではないかと思われま
す。
ライオンの交
尾はプライドの中心にいるオスとそのプライドのメスライオンの間でだけ行われます。ライオンには特に繁殖期というものはなく、一年中いつで
も
メスが発情すれば交尾が行われ、メスは一度の繁殖期の間に複数のオスと交尾をすることもあります。ですが一般にはプライドのオスの中で最も早く交尾したも
のに優先権があり、プライド内のオス同士でメスをめぐった争いが起こることはありません。このときライオンたちは一日に12〜40回以上も交尾を行い、食
事を取ることは極端に少なくなります。
ライオンの平均的な妊娠期間は約110日で、その後メスは1〜4頭の子供を出産します。メスは出産の時期が来る
と、群れから離れ一頭だけで出産します。
産まれたばかりの子供は体重が1.2〜2.1kgぐらいあり、産ま
れると母ライオンによってすぐにやぶの中などに隠されます。そして赤ちゃんライオンは生後1〜2日でハイハイが出来るようになり、11日ぐらいまでに目が
開き、3週間頃には
自由に歩き回れるようになります。
ライオンの子供は生後3か月ぐらいまで茶
色い斑点のある灰色の毛皮に包まれています。(この斑点は成長するにつれ消えて
いきますが、東アフリカの一部のライオンでは大人になってもお腹の部分に斑点が残るといわれています。)そして子供がプライドでの生活に十分付いていける
ぐらい成長すると、群れの仲間の元へ連れて行かれます。子供のライオンは母乳を飲んで大きくなりますが、
実はプライドの中のメスライオンたちは同じ時期に子供を産んで育てる性質があり、
同じ時期に生まれた子供たちは母親以外の
同じプライド内のメスからも母乳をもらって育て
られます。
こうして
子供たちは生後6〜7
か月頃には乳離れを迎えますが、その後も2歳頃までは群れの
中で育てられます。そして
メスのライオンはその後も産まれたプライ
ドの中
で暮らし続けますが、オスライオンは2〜3歳まで成長するとプライドから追い出されます。プライドを追い出されたオスは単独で生きていく
か、2〜3匹の主
に兄
弟であるオス同士で小さな群れを作って生活します。そして
4〜6歳ぐらいにまで成長すると、他のプライドのオスと支配権をかけて
戦い、それに勝つことで晴
れて新たなリーダーとしてその群れを率い、繁殖を行って子孫を残すことが出来るようになります。オス同士の戦いは非常に激しく、しばしばど
ちらかが重傷を
負ったり、死んでしまうこともあります。
しかしながらせっかくこうしてプライドのリーダーとなっても年老いて体が弱ると新たなオスによって、その座を追い落とされてしまします。このため
オスライ
オンが自分のプライドを持つことのできる時間は驚くほど短く、平均2〜3年
程度だといわれています。この間に彼らは出来る限り子孫を残しておかなければな
らないのですが、メスライオンは妊娠してから子供を育て上げ、次の繁殖が出来るようになるまで同じように2〜3年かかります。このため、新たにプライドを
奪ったオスはなるべく早く、自分がリーダーとしていられる間に出来るだけメスに自分の子供を産ませるため
、群れに残っている前のオスの子供はほと
んど残らず殺してしまいます。メスライオンはもちろん自
分の子供が殺されないよう必死に我が子を守りますが、ほとんどの場合力の強いオスにかなうことはありません(まれに複数のメスが力を合わせて抵抗したとき
のみ成功する例があるようですが)。そして子供がいなくなったメスはただちに繁殖
期に入り、新しいオスとの間に子供を設けます。ちなみに
ライオンはオスで5歳、メスで4歳ぐらいになれば繁殖が可能になるといわれてい
ます。
一方普通メスライオンは一生、自分が産まれたプライドから外に出ることはありません。しかし何らかの原因により一匹になってしまったメスはオスと同じよう
に放浪の旅に出ますが、オスと違いその後別のプライドに加わることはほとんどできず、大抵は元からいるメスライオンたちに追い返されてしまします。
一般に
ライオンはオスよりもメ
スのほうが長生きし、野生でオスは普通10年程度しか生きれ
ないのに対し、メスは15〜16歳ぐらいの寿命があります。
野
生で確認されている最も長く生きたものとして、
オスは16歳、メスは18歳までまで生きた記録があるそうです。また他
のライオンなどと争うことのない飼育下のライオンは野生
のものよりずっと長生きし、かつてハワイのホノルル動物園で飼われていた「アポロ」という名前の
オスライオンは22歳まで生き、また
飼育下での最長寿命の記録は30歳だそうです。
野生で大人のライオンの天敵と呼べる生き物は存在しません。彼らの死亡理由として主なものには、
幼少期におけるハイエナや他のライオンに
よる攻撃の他、人間
による狩り、獲物が取れないことによる飢えなどがあります。特に
ブチハイエナには子供が襲われ
るだけではなく、獲物を横取りされることも多いせいか、ライオンたちは極度に彼らを嫌っており、特にオスライオンなどはハイエナを見つけるとすかさず殺し
てしまうほどです。この時殺されたハイエナはほとんど食べられることがないことから、明らかに敵と認識した攻撃であると考えられます。
またネコエイズとを引き起こすとされ、飼いネコの間で問題になっている猫免疫不全ウィルス(FIV)ですが、実は野生のライオンの大部分がこのウィルスに
感染しているといわれています。しかし、ライオンの場合はネコのように深刻な病状が表れることはなく、とりあえずは生きて行く上で特に問題とはならないよ
うです。
ライ
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神奈川県野
毛山動物園で飼育されていた、国内最高齢のライオンのモドリ(オス、23歳8か月)が3月11日に残念ながら死亡してしまったそうです。死因は老衰で人間にすると120歳に達していたということです。モドリは17年前
の1991年に姫路セントラルパークから同園へやって来て、一度は別の
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たそうです。何と今回は双子で、4月には一般
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[画像撮影場所] 東山動植物園
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