シロサイ White Rhinoceros

私、実は白じゃ ないんです
シロサイ画像1
シロサイはアフリ カ大陸に生息しており、ゾウに ついで大きな体を持つ最大級の陸上ホ乳類の一つで す。体長は350〜420cm体重は大きいものでは3.6トンに達します。一般にオス のほうがメスよ り体が大きくなっています。

体の色は一般に明るいグレーか、濃い黄色をしています。同じアフリカ大陸にいるクロサイよりも体の色が明るいので『シロサイ』という名 前が付いていると 思っている人がいるかもしれませんが実はそうではありません。シロサイは他のサイと比べて非常に幅の広い大きな口を 持っていますが、これを示す現地の言葉である『widje』が英語に訳すときに間違って伝わり、さらに 『widje』が『white(白い)』になってしまい、そ こから『white
rhinocerosと いう名前を付けられてしまいました。更にこれが日本に伝わって『シロ』サイと呼ばれているわ けです。

ホ乳類である彼らは若い頃は体全体に毛が生えているのですが、年とともに抜け落ちていき尻尾の先や耳の縁、まぶたぐらいしか残らなくなります。(毛の抜け たサイが世のお父さん方と同じような悩みを持っているかどうかはわかりません。)毛の生えた耳は180度自由にまわすことが出来ます。シロサイは他のサイ ト同様視力はあまりよくありませんが、嗅覚は発達しています。

サイといえばやっぱり鼻先に生えた、その立派なを思い浮かべますが、シロサ イは前後に並んだ2本の角を持っており、大抵前側のほうが長く大きいものでは 150cmに達します。この角は骨でできているものではなく、皮膚が変化したもので、我々人 間でいうところの爪と同等のものです。またシロサイは頭部が非常に大きく、くびの周辺にこぶが見られます。
 
おっとりとした性格が魅力
彼らは草食であり、主に地面に生えた草を食べていますが、犬歯や門歯がないためシロサイはその良く発達したを使って草をむしりとって食べています。実は彼らの口 がとても幅広いのはこのためで、一度に出来るだけたくさんの草を食べるのに適しています。(これに対して木の枝に生えた葉っぱなどをむしり取って食べるク ロサイの唇はとがった形をしています。)

シロサイのオスは大人になるとなわばりを持ちますが、その広さは食べ物の多さと地域によって異なり、大体0.75〜8平方キロメートルぐらいです。シロサ イは一生の間 ほとんどを自分が持つなわばりの中で暮らします。しばしばシロサイは少数の群れを作りますが、かつて14頭ものシロサイが群れを形 成していたという記録があります。(そんなのにサバンナのど真ん中で出くわしたら泣いてしまうかも知れません…) なわばりを持つオスは普段は一匹だけで過ごしていますが、たまにそのなわばりに他のオスが入ってくると対決モードに入ります。とはいっても本気でガチンコ 勝負をすることは珍しく、角を軽く突き合わせたり、突進するフリをするぐらいです。またメスや若いオスが入っても、なわばりの主であるオスは別段気にす ることはありません。( 女子供に優しい理想の男性像ですなぁ…)なわばりがあることを知らせる目印はいろいろなタイプがあり、糞や尿をまいたり、地面を足でこすったり、木に角で 傷をつけたりします。

シロサイの性格は他のサイと比べて非常におとなしく、自分から好き好んで他の動物に攻撃を仕掛けるようなことはありません。かつて人が鼻先数メートルのと ころにまで近づいてもOKだったという例があるみたいですが、万が一のことを考えるとやめておくの が賢明かと思われます。

シロサイはよく泥水につかって いるところが目撃されていますが、これには体の熱を冷ますのと表面に付いた寄生虫を落とす二つの役割があるといわれて います。

シロサイは一年を通して繁殖行動を行いますが、主に夏と秋が最盛期となっていま す。通常はなわばりを持ったオスと相手のメスがカップルになり一緒に1〜3 週間の間過ごします。この求愛期間の間に二匹は互いに追い回したり、角を突き合わせたり、鳴き合ったりします。

交尾のあとメスはオスのなわばりから出て行き、およそ16ヶ月の妊娠期間を経て50kg前後の子供を出産します。生まれた子供はすぐに 元気に走り回り、 約1〜2年で乳離れをします。2〜3年後メスは子供を追いやってひとり立ちさせた後、再び交尾をして次の出産に備えます。シロサイのオスは性的に成熟する のに10〜12年程度かかりますが、メスはそれより短く6年程度ですシロサイの寿命は大体45年程度です

成体のシロサイにはほとんど敵はいませんが、子供の頃はしばしば
ライオンなどに襲われることがあります

絶滅の危機
シロサイ画像2
かつてシロサイはチャドや中央 アフリカ、スーダン、ウガンダといった比較的北方の地域と、アンゴラやボツワナ、ナミビアそして南ア フリカに代表される南方の二つ の別々に分かれた地域に生息していました。 この二つの地域のシロサイは亜種と して分類されており、前者をキタシ ロサイ、後者のグループをミナミシロサイといいます。し かしながら現在では上記のいく つかの地域ではシロサイを見ることが出来なくなっており、大部分は国立公園な どの厳重な保護地域に限られています

シロサイの数が減少した主な理由の一つに、そのを目的としたハンターによる密猟があります。漢方薬ではサイの角は解熱作用があると して珍重されており、 また中近東などでは短剣の材料に使われたりしていおり、裏マーケットでは高値が付いているといわれています。 実際には薬としての効能は全く無いことが確認されているのですが、現在でもこれらを目的としたシロサイの密猟は続いています。

また、その他にも近年アフリカ各地で行われている都市化によって、シロサイの住む土地が開拓されるなどして 生息域が脅かされていることもあげられます。更 にアフリカで 干ばつが起こると餌となる植物が一度に失われてしまうため、縄張りがそれほど大きくないシロサイにとってはそれが壊滅的なダメージになることがあります。

これらの理由により、シロサイの数は激減してしまいました。現在IUCN(国際自然保護連合)を初めとする様々な機関や条約によってシロサイは絶滅危惧種に 指定されており、あちこちの保護区域で懸命な保護対策が取られています。これによって、 現在でもなお約600頭のキタシロサイ約4000頭のミナミシロサイが生息していますが、予断 を許せないのが現状です。アフリカのいくつかの国々では、 このシロサイを見に訪れる観光客が重要な外貨獲得現になっていますが、政治的に不安定な国では保護体制が整いにくく、確かな現状把握が難しくなっていま す。


   シロ サイ関連のトピックス
兵庫県姫路 市の姫路セントラルパークに新たにミ ナミシロサイのカップル2頭が仲間入りしました。目的は繁殖のためで5年間途絶えている国内における子供の誕生を目指すそうです。これ まで姫路セントラルパークでは4回シロサイの出産に成功した実績があり、以前からいる 高齢になったメス2頭に代わって、新たにアフリカからカップルを購入することで次なる繁殖に挑戦するとのこと。この2頭のお披露目は早ければ冬休み頃になる予定だそうです。
2007年12月15 日 産経新聞

静岡県裾野市須山にある富士サファリパーク新たに6頭のシロサイが加わり計8頭が一度に飼育されることになりました。これは一つ の施設としては国内最大のシロサイの飼育数で あり、今回はオス3頭とメス3頭が加わりました。同園では「種の保存」の ため国内では2002年に以来報告例がないシロサイの新たな繁殖を目指 すということです。
2007年12月9 日 毎日新聞

最 新改訂2007年12月17日

[画像提供] ZOO 21st 様

Zoo21stバナー

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