全身に黒くて小さな点々模様があることで
有名なゴマフアザラシは北太平洋や北極海の一
部、
ベーリング海、オホーツク海など、聞くだけで寒くなりそうな
北の海に幅広く分布しています。マンガのキャラクターに
なったことでご存じな方も多い彼らですが、子供の
頃の真っ白な毛に包まれた姿は、殺人ものの可愛らしさです。
彼らはアザラ
シのなかでは中ぐらいの大きさでオスは全長1.7〜2.1m、
メスは1.4〜1.7mぐらいになります(人
間と大体同じぐらい?)。また分厚
い脂肪を持っている彼らは体重もそれなりに重くなり、
オスは85〜150kg、メスは65〜115kgぐらいになります。体の大きさは地域ご
とにばらつき
があり、比較的大型のゴマフアザラシのいる地域とそうでない地域があるようです。
水の中での暮らしに適応した
彼
らの体は流線形をしており、他のアザラシ同様四本の脚はひれ状になっていて、後ろ脚は体の後方にのびています。泳ぐときに抵
抗を減らすため、彼らの
耳には
耳たぶがなく穴が開いているだけで、また
鼻の穴は水中で閉じることが出来ます。
水中を泳ぐ時
は後ろ脚でバタ足をすることで推進力を得て、前のひれは方向を変える時に舵として使います。ゴマフアザラシの泳ぎの速さはすごく速く、またその動きもダイ
ナ
ミックで、さすはがアザラシといった感じです。普段彼らは
水深30mぐらいの所で餌を
獲っていますが、一説には
その
10倍の水深300mまで潜ることが出来
るともいわれています。
しかしながら、いったん水の中から出てくると、
陸上での移動は苦手で、全体をいも虫のよ
うにくねらせてはうように移動します。また前足には水かきのある5
本の指があり、泳ぐのに役立ち
ますが、さらにそれぞれの指にはツメが付いており、氷の上や陸上にいるときはこの爪を地面に引っ掛けて、前進することが出来ます。
毎年秋が深まるころになると
ゴ
マフアザラシ達は流氷に乗って南下し、日本海や北海道沿岸、中国の黄海などにも姿を現します。そして年が変わって、
4月の初
めから5月の初めになると、彼らは繁殖期を向かえます。
繁殖が行われるのも氷があるところで、交尾は水中で行われます。実は
ゴマフアザラシの妊娠期間はほぼ1年
で、交尾が行われる時期にはまだメスは前の年の子供をお腹の中に妊娠しています。そして交尾後10日ぐらいで出産が行われ、新しいオスとの間に出来た受精
卵はこの出
産の後で着床し、また次の年に産まれてくることになります。
産まれたばか
りのゴマフアザラシの子供は白やクリーム色をしたふわふわした毛皮に
包まれています。実は産まれたばかりの子供には、まだ大人のように分厚い
脂肪の層がないため、
子供たち
はこの毛皮によって寒さを防いでいます。また氷の上で過ごす時間が多いため、この白い毛皮は周りの景色に姿を溶け込ませ、子
供が外敵に見つかりにくくするための効果もあります。
ゴマフアザラシの出産時における体の大き
さは体の長さが75〜90cmぐらいで、体重は7〜12kg
ぐらいあり、大抵の場合は一匹で産まれてきます。
産まれた子供達はお母さんのミルクによって育てられますが、
ゴマフアザラシのミルクは牛乳など比較に
ならないぐらい脂肪や栄養分が高く(脂肪はウシの10
倍以上!)、これをもとにして赤ちゃんは体の中に急速に脂肪を貯えていきます。そして4〜5週間ぐらいすると、真っ白だった
毛は大人のものと同じものに生え
換わり、このころになると子供たちは乳離れの時期を迎えます(ホ乳類全般の中では結構早くに乳離れを向かえる方かもしれません)。乳離れを終えると子供た
ちは海に入って自由
に泳ぎ回れるようになります。そして
夏になると多くの個体は北上し、
周辺に氷がない場合は陸上で生活を行います。
ゴマフアザラ
シはオス、メスともに3〜5歳で大人になり、繁殖を行うよう
になります。ゴマフアザラシはかなり長生きできる生き物で、
最大35年ぐらいは生
きるといわれています。しかし子供の頃の死亡率は極めて高く、
およそ45%のゴマフアザラシが1歳を迎える前に死んでしまいます。
また飼育下では、日本国
内でゼニガタアザラシという近縁の他の種類のアザラシと交配し、子供を産んだ例があるそうです。
泳ぐことが非常に得意な彼らは餌を取るのも全て海の中で、
主な食べ物としてエビなどの甲殻類や、イ
カやタコ、そして主にタラなどの魚があります。時には餌
を求めて
数百キロも
泳いで移動するということですから、食いしん坊の度合いも半端じゃありません。
その反面、
脂肪がたっぷりで栄
養が豊富な彼らには数多くの肉食動物の天敵がいます。水中ではサメやシャチなどに襲われることが多く、また陸上や氷の上でも
ホッ
キョクグマを初めとしてセイウチやトド、
ヒグマ、ホッキョクギツネ、そしてワシなどの大型の鳥などがゴマフアザ
ラシを獲物として狩ることが知られてい
ます。
魚が大の好物のゴマフアザラシ達は、
魚を獲るために張られた網にかかったもの
もくすねることがよくあり、このため漁師さんからはとても嫌われています。しかし
この行為
はゴマフアザラシ自身にとっても危険で、サケ漁などの網に絡
まってそのまま溺死してしまうアザラシが後を絶たないそうです。また北の大地に
棲むエスキモーにとっては彼らは生きて行く上で非常に重要な存在であり、しとめたゴマフアザラシの肉を食用とするのはもちろん、その他にも皮を衣服として
使ったりするなど、決して無駄にすることはしません。また彼らの毛皮は各地で昔のスキー板の裏に滑り止めとして貼られていたこともあるそうです。
現在のところゴマフアザラシの生息数は十分に多く、安定しているため、絶滅の危険性はほとんどありません。現在では
全世界で40万頭ものゴマフアザラシが
元気に生息しているといわれています。かつてはオホーツク海などで日本や旧ソ連などが
彼らの毛皮を求めて大規模な狩りを行い、数が大きく減ってしまった時期もあったようですが、その後懸命な保護活動が行われ、また昔ほど彼らの毛皮の需要が
高くなくなったため、現在は無事もとの水準まで復活
したそうです。
そんなわけで愛嬌たっぷりのゴマフアザラシさんなのですが、白い毛皮の子供を飼いたいと思う人は、くれぐれもあっという間に普通の毛皮に生え換わることを
忘れて、ショックを受けることがないように気をつけてください。
北海道では一年中同じところで生活するゴ
マフアザラシを観光として見ることもで
きるそうなので、ぜひそちらの方を楽しまれるか、動物園に行ってお会いになることをお勧めします。ちなみにゴマフアザラシは国内で最も多く
の動物園・水族館で飼育されているアザラシだそうです。
ゴマ
フアザラシ関連のトピックス
山口県海響
館で飼育されているゴマフアザラシの母親「マル」と1歳にな
るオスの子アザラシ「ヒカル」の鼻を突き合わせる姿がキスを
しているようだということで人気を呼んでいます。アザラシは臭いで子供
を確認するそうで、この行動もこのような性質によるもの。同館では一日3回親子愛を楽しめるパフォーマンスとして公開しているそうです。
先日お伝えした山形県加茂
水族館で飼育中のメスのゴマフアザラシ「マルコ」に、3月18日無事赤ちゃんが産まれたそうです。赤ちゃんは3月5日に産ま
れた好みの子供とともに順調に成長中で、2頭の性別が判明し次第名前を一般から募集するそうです。
山形県加茂
水族館で飼育されているメスのゴマフアザラシ「コノミ」に、3月5日赤ちゃんが産まれたそうです。産まれた子供は白い毛皮に
包まれ、体長約70cmほどだそうで、性別が判明し次第名前
を公募するそうです。また同じ水族館で飼育中の「マルコ」も妊娠しており、こちらも出産間近だそうです。
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執筆:2008年2月22日(最新改訂2008年3月20日)
[画像撮影場所]
東山動植物園
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旭川市旭山動物園
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