オマキトカゲ Solomon Islands Skink
オマキトカゲは太平洋に浮か
ぶソロモン諸島という島々にだけに住んでいる珍しいトカゲ君で
す。彼らはスキンクと
呼ばれるトカゲのグループに分類されていますが、このグループの特徴で
あるくびれの無いずんどうな胴体を持っています。写真でも「でぷっ」としたお腹がとてもチャー
ミング(?)です。
このオマキトカゲはスキンクの
中でも最も大きくなる種類のとトカゲで、全長はなんと80cmに
も達します。日本でよく見るニホントカゲも同じスキンクの仲間
ですが、10cmぐらいにしかならないとを考えるとオマキトカゲ君のすごさが分かってもらえると思います。体の色やオリーブ色もしくは灰色がかった緑色で
結構鮮やかで奇麗な色をしています。
彼らは三角形をした少し平べったい頭を持っていますが、かなりいかつい顔をしています。しかしそんな顔に似合わず彼らは他の生き物を食べることはなく、果物や葉っぱを食べて暮らしてい
ます。そのため彼らは普段は高い木の上で生活しており、夜行性のため夜になると寝床である木の穴から這い出てきて、 太い枝の上で餌を食べ
あさります。
彼らの一番特徴的な点がその長〜い
尻尾で、これはヘビのようにくねくねと曲げることができ、オマキトカゲはこのしっぽを使って枝につ
かまることができます。彼らの手足には鋭い爪がついていおり、これを
使って枝につかまりますが、さらにしっぽを枝に巻き付けることによって、高い木の上を自由に移動することができます。スキンクの仲間で樹上生
活をするものは他にあまりいませんが、その中でオマキトカゲは完全に木の上での生活に適応しており、その点でも他のスキンクとは大きく変わっています。ち
なみに英語ではこのしっ
ぽを枝に巻き付けるところがサルに似ているところから「Monkeytail
Skink(サルの尻尾を持ったスキンク)」とも呼ばれています。
オマキトカゲのオスとメスは見た目であまり違いはありませんが、オスのほうがメスよりもやや大きめの頭を持っていると言われています。
普通爬虫類などはカメなどように出産のときは卵を産みつけますが、オマキトカゲの場合はメスが体の中で子供
を育て、孵化した子供が産み落とされます(これ
を卵胎生といいます)。一度に生まれる子供の
数は大体1〜2匹程度で
すが、問題なのはその大きさで、
生まれてくる子供の長さは15〜20cmぐらいで、体重はなんとメスの35%にもなります。
(人間の場合だと生まれてくる子供の体重はお母さんの大体5%ぐらいなので、それと比べると非常に大きな赤ちゃんであることが分かってもらえると思いま
す。)
生まれてきた子供はすぐに独り立ちするわけではなく、数週間から数か月の間お母さんのもとで大
切に育てられます。一般にオマキトカゲは一匹ずつのオスとメスが夫婦を作って一緒に行動すると言われており、さらに子供が出来るなどして数匹の家族からなる小さな群れを作ります。
普通一部のワニなどを除き、ハ虫類の仲間は単独行動をすることが多く、オマキトカゲのように家族を持つものは非
常に珍しいといえるでしょう。またオスのオマキトカゲは非常に縄張り意識が強く、他のトカゲが入ってくると激しく攻撃します。
さて冒頭にも述べたとおり、彼らは太平洋のソロモン諸島に住んでいますが、我々日本人からすると少し驚くことに、現地の人は伝統的にオマキトカゲを食べて
いるそうです。更ににそのお肉は果物ばかりを食べて生活しているせ
いか甘〜い匂いがするそうです(ほんまかい
な?)。
近年のペットブームにより世界中の国々でオマキトカゲを買う人が増え、はるばるソロモン諸島から飛行機や船を使って輸出されています。ですがもともと彼ら
は子供を産む数が少ないため、
乱獲によりどんどん数を減らしており、また過去輸出するときの飼育環境があまり良くなかったころには、かなり大量のオマキト
カゲが船旅の途中で死んでしまったそうです。このため政府はオマキトカゲの輸出には法律により厳しい制限を設けていますが、前に述べた食べ物としての捕獲
や森林伐採などによっても、オ
マキトカゲの生活は危険な状態になりつつあります。
ちなみにペットとして彼らを買うときは、果物の他にもコオロギなどの餌も食べることが知られています。ただ普段はのろのろとした動きをしている割には怒る
と口を開けて「シュッ」という音を出して威嚇したり、とがった爪や鋭い歯の並んだ強い顎でいきなり噛みついてきたりすることがあるので注意
が必要です。
執筆:2007年9月1日
[画像撮影場所] 旭川市旭山動物園
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