ミドリニシキヘ
ビ Green Tree Python
[びゅーちふる・ぐりーん・すねいく]
ミドリニシキヘビはニューギニアの島々やオーストラリア北部のケープ・ヨーク半島にいる非常に美しい緑色をした樹上性のヘビです。く
そ暑いじめじめした熱帯雨林の木の上によくとぐろを巻いてじっとしていますが、大きさは平均1.2m、最大のものは2mに達
します。けれどもニシキヘビの仲間
の中では比較的小さめ。でも彼、樹上性にもかかわらず結構木から下りてきて地面を徘徊したりします。
緑色の体には背から腹にかけての縞や点状になった白、もしくは青い色のうろこで出来た模様が見られます。この模様はある程度親から子へ引き継がれるため血
統によって違ったものになっており、地域ごとにも結構差があります。もちろんこの緑色は単なる飾りではなく、熱帯雨林の木の中で周りの葉っぱに溶け込んで
敵から隠れるためのものです。なぜか熱帯雨林の森だけがお気に入りで、他の森や木々が伐採された後に再生した二次林などの木にはほとんど見られません。
(でもなんか上の写真って巻きついたホースっぽいですね…。)
ミドリニシキヘビの胴体は横に押しつぶしたような形をしており、断面は三角形でスリムな体つき(?)をしています。それに対してダイヤモンド型をした頭部
は大きめで、ちょっとばかし頭でっ
かちなヘビです。
[風変わりなハンター]
これだけド派手な色をしていると毒蛇っぽく見えるのですが、幸
い彼、毒はもっていません。
その代わり100本もの鋭く長い牙を持っているため、噛まれてしまうとしゃれになりません。そ
んなミドリニシキヘビ君は餌をとるときに一風変わった方法で狩
りを行うことが知られており、写真のように枝の上にじっと座ったまま尻尾だけを下にたらします。んでもって、その尻尾をブラブラさせるとその尻尾の動きに
つられて他の小動物が近づいてきて、十分ひきつけたらパクッといってしまいます。ハ虫類の癖に結構頭のいいヤツです。まあ、
いつもいつもこんなチョウチン
アンコウチックな狩りをしているわけでなく、積極的にはいずり回って獲物を取りにも出かけます。ちなみにこのヘビは夜行性のため、主に夜動き回ります。
ミドリニシキヘビの獲物は主にトカゲやカエル、他のヘビや小さな哺乳類です。動物園なんかではネズミや鳥のヒナを与えるそうですが、人になれるのが早くす
ぐに死んだ獲物をピンセットで差し出しても食べるようになってくれます。ただ結構気性が荒く、人間にも簡単に噛み付いてくるし、
孵化した後のヒナはなかな
か餌を食べるようにはなってくれないため、ちょっと素人が飼うには無理があるらしいです。(え?べつに飼いたくない?)
[ミドリニシキヘビは良いお母さん]
ミドリニシキヘビは一年中交尾を行いますが、そのきっかけには温度や日照時間、脱皮が関係
す
るといわれており、また排卵に直接関係するメスの体重も一つの要因であるという説もあります。その中でも秋から冬にかけてが一番盛んな時期で、交尾後
20〜24日するとメスは20〜25個の卵を地面に産みつけます。また、このヘビは卵を抱くことが知られており、メスは一生懸命
体を震えさせて卵を温めま
す。その後45〜52日程度たつと親とは似ても似つかない、レモンやバナナのように真っ黄色の体に赤茶け
た模様がある子供が孵化します。生まれたばかりの
子供は大体28〜35cmぐらいですが、生まれるとすぐに木に登り、1〜2年ぐらいで親と同じ緑色の体になります。
南アメリカにはエメラルドツリーボアというよく似た緑色のヘビがいるのですが、この二つは実際に近縁の種です。しかしながらミドリニシキヘビのほうは卵を
産んで子供を返す卵生という繁殖形態をとっているのに対し、エメラルドツリーボアは卵でなく孵化した後の子供を生む胎生です。なかなか、ヘビの社会も複雑
みたいですねぇ。
ちなみにこのヘビ、ニューギニアなどではご馳走として食卓に上がることもあるらしいで
す。あんな色した彼らを食べようと思うなん
て、地元の人の感性はすごいです
なぁ…。
[画像提供] 株式会社ナレッジリンク様