トラフシャコ Zebra Mantis Shrimp
右の写真の彼、すごいお顔ですね〜。まるでハリウッド映画に出てくるエイリアン
のよう
な顔つきです。とても地球上の生き物とは思えません。
冒頭からひどいことばかりを言ってしまった気がしますが、そんな彼の名前はトラフシャコ君と言います。
シャコと言えばお寿司屋さんではおなじみのネタです
が、実はトラフシャコはシャコの中
のシャコと言えるすごいお方だったりします。
というのも彼らは全長40cm近くにもなる世界最大のシャコだったりするのです。そしてその名が示
すとおり、全身には白もしくは黄色と黒のトラのような縞模様(虎斑(とらふ)模様)を持っていて、更に体の前
方には大きな鎌のような形をし
た捕脚と呼ばれる脚が備わった、大変
迫力のあるお姿をしています。またメスのトラフシャコはオスよりもオレンジっぽい色をしており、眼や捕脚が小さくなっているのが特徴です。
彼らは西太平洋やインド洋の浅い砂泥地に住んでおり、普段はそこに巣穴を掘って体を地中に潜らせ、ひっそり
と暮らしています。この時巣穴の上に小さい小石などを
置いていたずらをすると、ちょこちょこと出てきて石を一生懸命動かす姿がすごく可愛かったりします。
そんなトラフシャコですが餌をとるときは一変、『虎』の名に恥じない強靭なハ
ンターとしての姿を見せます。彼らの持つ大きな捕脚は、普段顔の横に折りたた
まれています。しかし魚や甲殻
類などが彼らの近くに寄ってくると、本当に眼にも止まらぬ速さでこの捕脚を獲物にくりだして、その体を一突きに突き刺してし
まいます。
さすがシャコの中のシャコといった感じなのですが、その一方で彼らは結構細かいところ
を気にしない面があるみたいで、ふとした拍子に同じ巣穴の中にエビが住みついちゃうこともあります。この時エビは同じ
巣穴にめちゃ強いトラフシャコが居るため、外敵が巣
の中に入ってきて襲われる心配がなくなり、更にトラフシャコの食べる餌のおこぼれを頂戴することもできます。つまり正にいたせりつくせり、一石二鳥の生活
を送れるという訳ですね。では逆のトラフシャコの方はエビに住まいを間借りさせてあげて何か得をするのかと言うと、別に何の利益になるわけでもないそ
うで、
結構お人好しな
ところもあるみたいです。(ちなみにこのような関係を片側だけが得をするという意味で『片利共生』と言います。)
てな感じでその姿と共に、色んな変わった面を見せてくれるトラフシャコ君ですが、仮に彼らと海で出会った時は強力なシャコパンチを食らわ
ないようにくれ
ぐれも注意してください(多
分本気で怪我しちゃうレベルです)。
執筆:2007年8月26日
[画像撮影場所] 横浜・八景島シーパラダイス
|