マダコ Common Octopus

タコといえば私です
マダコ画像
ユーモラスな姿や蛸壺に入ったり、墨を吐いたりする面白い行動でお馴染みのマダコですが、やっぱりその人気の最大の理由は、お寿司やタコ焼 きなどの料理のおいしさであると思います。

彼らは
熱帯から温帯の比較的暖かい海に棲んでいて、世界中に分布しているといわれています。主な生息地は地 中海や大西洋、そしてお馴染みの日本海などで、水面近くから深いところでは水深100〜150mあたりまで分布しています。

頭から足の生えたような姿をしている彼らですが、実は後ろに大きく突き出しているのは頭 ではなく我々で言う胴体の部分で、中に内臓な どが備わっています。この胴体 の大きさは25cmぐらいですが、足の長さはその3倍にも達し、中には足を含めた体全部の長さが1mにもなるものも居ます

彼らの主な食べ物には巻貝や二枚貝などの貝類の他、エビなどの甲殻類があります。獲物を見つけると、吸盤の付いた腕ではがいじめにし、さらに毒性のある唾液を獲物の体に注入して麻痺させてから食べ てしまいます。あのサイズですからまだ問題ないですが、もし彼らが人間を襲うぐらい(10mぐらい?)巨大だったと考えると夢に出てきそう なほど恐ろしい食べ方ですねぇ。ちなみに生きたマダコをさばいたばかりのお刺身を食べた人は身を持って経験されたことがあると思いますが、彼らの吸盤の力 は強く、一度吸いつくと我々人間でも引っぺがすのに苦労します。(特に唇にくっつかれると最悪)

彼らは主に夜行性の 動物で、夕方頃になると巣からでてきて獲物を探しまわり、夜明けごろになると巣へと戻ってきます。また彼らは食べた獲物の殻などを、普段潜んでいる岩の隙 間などにある巣の周りに捨ててしまうため、あたりに貝殻の山(タコ版貝塚)が出来てしまうこともあります。

一方で体が美味しい(?)せいか彼ら自身も多くの天敵がいて、ウツボやサメ、エイなどによく襲われる言われています。これにたいし襲われたタコは真っ黒なを煙幕のように吐いて敵から逃げます。また普段彼らは体の色を変えて周りの岩や海藻に化 けてじっと潜んでおり、その技術は我々人間でも言われないと気付かないほど見事なものとなっています。

軟体動物の超エリート
マダコの繁殖期は春で、この頃になると沿岸の方に集まってきます。マダコの交尾はオスが交接腕(こうせつわん)と言う足を使って、精子の入った袋をメスの 胴体の隙間に差し込み、卵管に置くことで行われます。その後メスの体の中で卵が受精すると、数万から多い時には50万個に及ぶ、長さ2.5mmほどの卵が産み落とされます。これらの卵 は粘液によって一つのかたまりにまとめられて、比較的浅いところにある、岩に空いた穴や割れ目など的に襲われにくいところに産みつけられ、さらに粘液を 使って下の岩地などに固定されます(場合によっては空き缶やボトルなど人工物にも卵を産むことがあるそうです)。このマダコの卵は見かけが真っ白で、植物の藤の花に形が似ていることから日本では「海藤花(かいとうげ)」と呼ばれています

メスのタコは 産まれた卵の世話を一人で行い、足を使って卵を掃除したり、新鮮な水を吐いて卵に十分な酸素を送ったりします。メスのタコはこの間ほとんど飲まず食わず で卵の世話を行い、体重の3分の1を失ってしまいます。 こうして数か月後、卵から子供たちが全ての卵からふ化すると、メスはそれを見届けるように死んでしまい ます

産まれてきた子供は短いながらも吸盤が付いた足を持った姿で産まれてきます。子供たちはプランクトンをすごい勢いで食べて育ち、数週間ぐらいで体重が0. 2gほどになると海の深いところへと移動していきます。そして2〜3年して大人になると、再び沿岸部に移動して繁殖を行います

古くから海になじみのある日本では、彼らは最もよく食べられている魚介類の一つで、兵庫県明石市の「明石ダコ」などはとくに有名 です。一方ヨーロッパなどの国々ではタコを食べる習慣はほとんどなく、その少しグロテスクな見かけのせいか「デビル・フィッシュ(悪魔の魚)」な どと呼ばれたりします。現在世 界のマダコの水揚げ量は20,000トン以上にもなる(1976 年ごろには130,000トンに上ったとも)ということですが、これが乱獲につながるのではないかと心配されています。実際モロッコなどの国々では日本な どに多くのタコを輸出していましたが、近年その水揚げ量が減少傾向にあるそうです。

日本では何と弥生時代(紀元前1000年〜西暦300年ごろ)には既に日本人はマダ コを食べていたと言われており、タコを取るために使われたと思われる蛸壺らしき土器も見つかってい ます。この蛸壺を用いた漁は今では底 引き網漁に取って代わられていますが、やはり日本人は昔からタコが好きだったんですねぇ。

一見のんびりとした姿に見えますが、実は彼らは軟体動物の中ではずば抜けて頭が良 く、なんとネジ式のふたで閉められたビンの口を開けて、中にある餌をとって食べたりすることもできます。欧米などではロブスター用の罠が彼 らにこじ開けられ、中に入っているロブスターを食べられてしまうこともあるみたいです。また彼らは見た者の大きさや形、向いている方向なども認識すること ができ、「マダコ侮れず」と いった感じです。

執筆:2007年12月2日

[画像撮影場所] 海の中道マリンワールド

マリンパークリンク

50音順リストに戻る

その他リストに戻る

トップページに戻る


無料カウンター