ジュゴン Dugong

海牛類に属するジュゴンはそのユーモ ラスな姿で多くの人に人気があり、日本では鳥羽水族館などで飼育されています。

このジュゴンについて有名な話として、伝説上の生き物である人魚はこの生き物の誤認だったという説があります。水族館でモソモソと 海草をほおばっている姿を見る限りでは、私なんかはどう考えてもこれを人魚と間違えるわけはないと思うのですが、実際にインド洋では航海中の船が海面に浮 かんでいるジュゴンの親子を見て、人間の水死体が浮いていると勘違いして近づいていったという話があるぐらいですから、案外この説も的外れなものではない のかもしれません。

海牛属には大まかに分けると現存するものとして、このジュゴンとマナティが知られていますが、ジュゴンは主に太平洋やインド洋の熱帯域に分布しています。 先にも述べたとおり、ジュゴンは海草を主食としており、かなり食いしん坊で山のような海草を一匹でたいらげるそうです。海草の生い茂ったところで、ジュゴ ンが食事をするとその部分だけ綺麗に海草がなくなってしまい溝のように見えるため、この溝のことをジュ ゴン・トレンチ(ジュゴンの溝)と言うそうです。

ジュゴンは大きいもので4m程度にまで成長しますが、分類学的には象に近いといわ れています。同じ水生哺乳類であるイルカやクジラなどは、より水中生活に適応しており、魚に非常に近い姿をしていますが、かつてはジュゴンのように顔の前 に鼻があり、背びれのない姿をしていました。ですから、このジュゴンもいずれは彼らのように水中生活に適応すれば、スマートな体になるのかもしれません。

のんびりとしたイメージのあるジュゴンですが、その性格が災いしてか、かつてはそ の肉を求めて乱獲が行われた時期がありました。ジュゴンと同じ海牛類にステラーカイギュウという、ジュゴンより種がベーリング海にいたことが知られていま すが、彼らもまた乱獲に会い、残念ながら絶滅に至ってしまいました。同じように悲運の運命をたどったジュゴンですが、幸いなことに世界中の海で10万頭程度が生存しているといわれており、今でもその姿を日本の沖縄などでも見ることが出 来ます。

[画像提供] 株式会社ナレッジリンク様  


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