インドオオコウ モリ Indian Flying Fox

インドオオコウモリ画像
[翼を持ったキツネ]
大きな体、闇夜に光る巨大な眼、いかつい顔つきと、見るからに吸血鬼でしかないインドオオ コウモリはその名の通り、インドからパキスタン、スリランカ、ミャンマーなどに生息しています。羽を広げた大きさはなんと1.6mにも達し、 体重も大人のオスで900gから1.6kg、メスでも900kgもあり、コウモリの中ではかなり大型の種類です。

こんな姿形をしていますが、人を襲って血をすうような吸血コ ウモリではなく、普段は果物や花の蜜などを食べています。人(?)は見かけで判断できませんねぇ。ですから、動物園に行って彼らを見ても『え〜、やだ〜、怖〜い!!』 などと言わないでください。ショッ クを受けて立ち直れなくなってしまうといけませんので…。また、鼻先がとがっており、顔全体の雰囲気がキツネ似ていることから英語 では『Flying Fox (空飛ぶキツネ)』という名前が付いています。結構かっこいい名前ですなぁ。

体の色は濃いこげ茶色か黒をしており、肩や首の後ろが明るい黄色になっています。翼の先に大きく発達した爪を持っていますが、これは主に枝をよじ登るとき に使用されます。

[コウモリの世界も大変?]
主にインドコウモリは近くに水源のある森や沼部に生息しており、昼間は大きな木の枝にぶら 下がって休みます。このとき彼らはコロ ニーと呼ばれる大きな群れを作り、一本の木に数百から多いときで千匹を超えるオオコウモリが寝泊りしています。このコロニーの中でオスのインドオオコウモリには縦社会が存在 し、大きさやけんかの強さに応じて順位付けがなされています。このうち順位の高いオスは木の上の方にねぐらを持っていますが、順位の低いオスは下のほうに 追いやられてしまい、それぞれ毎日決まったところにねぐらを持っています。これに対してメスのインドオオコウモリは気ままで、特にそういっ た階層は持たず日によって好きなところで寝泊りすることが出来ます。

夕方から夜にかけては活動的になり、周辺の餌場にお食事へと出かけます。行動範囲は広く、時には15km以上はなれた餌場へと移動する こともあります。
コウモリというと有名なのがイルカの様に超音波を出して、自分の周りにある障害物や餌など を探すということですが、インドオオコウモリにはそれが出来ません。 その代わり彼ら非常に大きく発達し た眼を持っていて、空を飛ぶときはこれを使って障害物を察知しています。しかしながら、色盲であるため物体の色は認識すること は出来ず、餌を探すときは視覚ではなく餌のにおいをかいで探索します。熟した果物を好んで食べるのですが、食べ方は口の中で果肉をもごもごした後、果汁だ け を飲んでカスだけを吐き出します。結構贅沢な食べ方をするヤツ。ちなみに食べる果物の種類もバナナやイチジク、パパイヤ、マンゴーな どやっぱり贅沢なものを食べています。ちょっとうらやましい…。

[厄介者と呼ばないで]
交尾をする時期は地域にもよるのですが、大体7月から10月ぐらいで、インドなどでは2月 から3月にかけてメスは一匹だけ子供を産みます。子育ては主にメスの仕事で、生まれてから 6〜7週間は体に子供を捕まらせて一緒に飛んでいき餌を与えます。その後子供が大きくなると一緒に連れ出すことはせず、コロニーのある木に 残してそこへ母親が餌を運んできます。最終的に子供が親元を離れるのには5ヶ月程度かかるのですが、オスは生まれた木から離れて別の木へと移っていきま す。飼育下でのインドオオコウモリ の寿命は大体20年ぐらいであるが、最長のもので31歳と5ヶ月と いう記録があります。

インドオオコウモリの天敵としては、ワシやタカなどの猛禽類やヘビといった肉食動物があげられますが、生息数は多く絶滅の危険性はほとんどありません。し かしながら果樹園等でなった果物を 食い荒らすため害を及ぼすとして厄介者扱いを受けており、駆除されたりねぐらとなる木が切り倒されたりしています。その一方で一部の地域では宗教的に神聖 視されており、丁重な扱いを受けています。とまあ、人間との付き合い方は色々複雑なインドオオコウモリ君ですがよく見ると結構かわい い顔をしていますので、動物園等で出会ったら暖か〜い視線を送ってあげてください。

[画像提供] 株式会社ナレッジリンク様 ナレッジリンク様リンク


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