モモイロペリカ ン White Pelican

白なの?モモなの?
モモイロペリカン画像
こちらの写 真に威風堂々とした姿で写っているのは、ペリカンの中でも美しい羽を持つモモイロペリカンさんです。日 本語の名前からするとピン ク色のペリカンをイメージしてしまうと思いますが、実際にはこのペリカンさんの羽毛は真っ白で、英語の名前もWhite Pelican(白いペリカン)となっております。ではなぜ“モモイロ(桃色)”と いう名前が付いてしまったのかというと、実は繁殖期には羽の色が変わり桃色になるからであるといわれていま す(下の写真がピンクになったときのモモイロペリカン)。

このペリカンは主に東南ヨーロッパ北アフリカ池や沼、湿地帯などに住んでいますが、 彼らの生息域は非常に広くイラクや北インド、東はモンゴル西部にま で分布しています。そ の中でも東アジアの国の一つで あるルーマニアにあるドナウデルタという大湿地帯には全世界 の50%のモモイロペリカンが生息しているといわれ、最大の繁殖 地となっています。このドナウデルタのものを初めとして比較的北の方に住んでいるものは冬になると北アフリカなどに渡っていき、 そこで越冬しますが、 サハラ砂漠の南の地域のような温暖な地域にいるものは一年を通して同じ地域にとどまります。普通日本に渡ってくることはないのですが、かつて沖縄の離島に迷い鳥として飛来した 例があるそうです。いきなり庭先に見たこともないペリカンが飛んできたら、さぞかしびっくりすることでしょうねぇ…。

モモイロペリカンは非常に大型 のペリカン体重は 5〜10kgになり、体 長は160cm、そして羽を広げた長さはなんと280cmに達します。彼らの全身 は先ほど述べたとおり、白い羽毛に覆われていますが、目の周りと足はピンク色の皮膚が露出しており、翼の後ろ端にある風切羽は黒い色をしています。ま たペリカンの特徴である大きな くちばしは黄色地に青と赤のラインが縦に走っていて、とてもカラフルなデザインとなってい ます。オスの方がより大きくな り、 体長で30cm、体重では4〜6kgぐらいメスを上回ります

もちろん彼らは主にを 食べて生活しており、一日に食 べる量の90%以上がコイやカワスズメのような比較的大型の魚、残りの10%がそれより小型の魚となっていま す。変わったところではアフリ カの南西部などでは、キノドハナグロウという鵜のひなや卵を食べることがあります。一日の食事量は900〜1200gぐらい で大体2〜4匹の魚を 食べます。

普通、鳥の仲間はホ乳類などとは異なり、みんなで協力して餌をとることはないのですが、モモイロペリカンはグループを作って漁をする珍 しい鳥であることが知られていま す。具体的には8〜12羽のモ モイロペリカンが馬蹄型に並び、皆で一斉にくちばしや羽を使って魚を浅瀬の方に追いやります。そして魚が逃げ場を失うと水の 中に大きな袋が付いたくちばしを突っ込み、獲物を水の上にすくい上げてそれを食べます。この時魚とともに入ってくる大量に入ってくる水はく ちばしの間から外に出すことができ、意外と(?)器用な一面を持っていたりします。
またこのような魚の取り方をするため、あまり水の深い池や湖、もしくは水温の低い ところでは生活することができません。

ですがモモイロペリカンさんは実はそんなに働きものと言うわけではなく魚を取るのは一日の中のごく短い時間だけで、 午前8〜9時ごろには食事を完了し、 その他の時間は水浴びや羽づくろいをしたり、休憩をするのに使われます。また一日の中で気温が上がると大きな口を開けたり、翼を広げたりして、 そこから熱を逃がし体温調節を行います

近づくな危険
モモイロペリカン画像2
モモイロペ リカンの繁殖期はヨーロッパではに なっていますが、アフリカにい る個体の中には一年中繁殖をおこなう者もいることが分かっています。オスは求愛のときに 喉の袋の内側の明るい色を見せたり、生え換わった羽を見せびらかせたりします。ペアを作った後、早い時には数時間、遅くても一週間以内にはモモイロペリ カンの夫婦は巣の場所を決め、さらにそこに木の棒や少数の岩を積み重ねて巣を作り、 繁殖の準備を行います

繁殖も普段の生活と同じく水辺で行われ、それぞれのペアは平均して2つの卵が産み落とし、29〜36日ぐらい卵を抱くと中から雛が出てき ます。そしてさら に65〜75日間親鳥は子育てを行いますが、その後3〜4年で完全に大人のペリカンへと成熟します。幼いこ ろの個体は大人と違っていて、灰色を帯びた色をして いま す。ちなみにモモイロペリカンの子育ての成功率は64%ぐらいで、おおよそ3匹のうち2匹が大人になることができます。

モモイロペリカンはなわばりを持っており、特にオスは侵入者があると口を開けたり、くちばしを鳴らしたりして 相手を威嚇します。それでも引き下がらずにいると、その大きなくちばしを使って強力な攻撃をしかけてきますので、もし万が一、モモイロペリカンの巣に足を踏 み入れてしまったらくれぐれも注意してください(絶対にないとは思いますが…)。

モモイロペリカンは特に絶滅の危機に瀕しているということはないのですが、ドナウデルタなどヨーロッパのものは人間 の生活によって生息区が影響を受け、若 干その数を減らしています。これに伴ってアフリカ・ユーラシア渡り性水鳥の保全に関する協定(AEWA)では保護対象になっています。現在 のところ具体的な例としてアフ リカでは約75,000ペアのつがいがいると 考えられています。

あまりモモイロペリカンが人間によって狩りの対象になるということはないのですが、かつてはたばこの入れ物刀剣の鞘にそのくちばしの袋が使われていたことがあります。現在では羽や皮を用いて衣服が作られ、またアフリカなどではモモイロペリカンのから肥料が作られています。変わったところでは若いペリカン から取れるリュウマチに効くとして、 中国やインドで用いられています。

   モモ イロペリカン関連のトピックス
島根県松江 フォーゲルパークにいる、生後9か月のモモイロペリカン「ゴリちゃん」が人気を呼んでいるそう です。ゴリちゃんは卵の時に親鳥に子育てを放棄されたそ うなのですが、その後飼育員さんに育てられ、現在では体重12kg、体高 115cmまで無事成長しています。また飼育員さんの肩に乗って投げられた餌をキャッチしたり、自分の名札が付いたひもを 引っ張ってくす玉を割ったりすることが出来るまでなついているそうで、ショーは一日一回行われているとのこと。
2008年3月6日 読売新聞

(最新改訂2008年3月8日)


[画像撮影場所] 
サンシャイン国際水族館
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天王寺動物園
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