アカショウビン Ruddy Kingfisher

赤いカワセミ
アカショウビン画像1
赤くて大きなくちばしが特徴のアカショウビンは夏になると日 本にもやってくるカワセミの仲間で す。

アカショウビンは東アジアおよ び東南アジア全域に分布し、主に森林地帯や南国のジャングルの中で生活しています。日本には毎年5月頃に なると繁殖のために 姿を現し、10月頃になるとボルネオなど南の地域へと越冬のために帰っていきます。これまで北海道から本州、四国、九州などで繁殖が確認されており、繁殖 地は日本 全国に分布しています。また日本国外で繁殖を行う場所としては中国や大韓民国があります。

アカショウビンはカワセミの中では中程度の大きさの鳥で全長27cmほどになり、全身 が赤褐色の羽毛で覆われています。この羽毛は翼と体の後ろの部分で色 が濃くなり、紫色をおびます。また普段は隠れて見えませんが腰の部分が水色をしており、羽ばたくときにだけ外から見ることが出来るそうです。一方くちばし はその名の通り真っ赤な色をしていて、足も同様に鮮やかな赤色をしています。

彼らのオスとメスの間にはほとんど見た目の違いはありませんが、一般にオスのほうがやや明るい色をしているといわれています。そしてオスのアカショウビン は繁殖期になると「キョロロロロー…」という高くて次第に小さくなっていく特徴的な鳴き声で鳴くようになります。アカショウビンは6〜7月頃になると繁殖用の巣穴を主に木の幹に空いた穴の中に造りますが、その他にも崖に空い た隙間を使ったり、変わったところではシロアリの塚やキツツキの古巣を使うこともあります。

彼らが鳴き声を出すのは主に明け方で、また雨の日にもよく鳴くことがわかっています。また彼らは主に一匹かもしくはペアで行動します。

レアキャラ!  リュウキュウアカショウビン
日本では現在全部で3種類のカワセミの仲間を見ることが出来ますが、その中で唯一アカショウビンだけが渡り鳥となっています。また彼らは通常水辺の近くを 好む他のカワセミと比べて、より森の深いところの木の上で生活します。鮮やかで美しい赤色をしている彼らはバードウォッチングでも人気の的ですが、深い森 の中で木々に隠れるようにして棲んでいるため、なかなか姿を見つけることが出来ず、鳴き声だけ聞こえてくることがよくあるそうです。

彼らは主に渓流に棲む魚やカエ ルやサンショウウオなどの両生類のほか、沢ガニのような甲殻類、大型の昆虫などを食べています。水の中にいる獲物を取る時は自ら水に飛び込 み、その大きなくちばしで獲物をとらえます。また水中の生き物以外にも地面にいるトカゲやカタツムリを獲ったり、木の幹にいるセミをつかまえたりもしま す。獲物を捕らえると他のカワセミのように木の枝や石の上に戻り、獲物をくわえ直して頭から丸のみします。もし獲物が大きすぎるときは獲物の体を叩きつけ て息の根を止めてから呑みこむそうです。

世界的には広い分布域を持ち、生息数も多い彼らですが、巣作りなどに大きな幹を持つ木を必要とし、深い森に棲む傾向があることから、開発によって森が減少している地域では数 が少なくなっており、日本でもあちこちでアカショウビンの減少が顕著になっています。このため一部の自治体では彼らを保護動物に指定して、 様々な保護活動が取られています。

ところでアカショウビンにはもう一つ、夏になると沖縄などの南西諸島にわたって くるリュウキュウアカショウビンという名の亜種が存在してい ます。リュウキュウアカショウビはアカショウビンと比べて体全体が濃い色をしていて、紫色が強く、また腰の部分の水色も鮮やかです。九州か ら北の地域ではほとんど見られないリュウキュウアカショウビンですが、南西諸島ではかなり一般的なそうですので、旅行などに行った際はぜひ近くにいないか 探してみてください。 

執筆:2008年3月20日

[画像撮影場所] 恩賜上野動物園

恩賜上野動物園サイトバナー

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