イワトビペンギ ン Rockhopper Penguin

イワトビペンギン画像
[歌舞伎ペンギン]
全国1000万のペンギンファンの皆様(誇 張しすぎ)、お待ちかねイワトビペンギンさんで す。以前整髪料(スー○ーハー○)のCMで主役に抜擢されたこともあり、すっかりお馴染みのイワトビペンギンは大西洋からインド洋かけての非常に広範囲に わたった高緯度地域の島々に見られる小型のペンギンさんです。
実は彼らには三つの亜種が知られて おり、南アメリカ大陸の南端にあるフォークランド諸島からアルゼンチン、チリにまたがって生息しているミナミイワトビペンギン、イ ンド洋の南のプリンスエドワード諸島、ケルゲレン島、ニュージーランドの南のアンティポーズ諸島に住むヒガシイワトビペンギン、大 西洋南部のトリスタン・ダ・クーニャ島、ゴフ島、インド洋のアムステルダム島に住むキタイワトビペンギンがいま す。
このペンギンの大きさは大体50cm前後、体重は2.5kg程度で、体の下側は白い羽毛に覆われており、頭部と背中、羽は黒くなっています。眼の上には特徴的な黄色い羽飾りが付いてお り、話題の頭頂部の羽毛は後ろ向きに突き出していて、赤茶色のクチバシを持っています。黄色い眉毛に彩られた根性ありげな彼らのお顔はどこ となく歌舞伎役者じ みている様な…。(特に上の画像の彼、すごい顔つきですねぇ…。)

イワトビペンギンは主にオキアミなどの小さな甲殻類や小魚、イカなどを食べていま す。さすがペンギンらしく泳ぎは得意で、時には100mもの深さにまでもぐっ て餌を取りに行くことが知られています。イワトビペンギンは非常に社会的な種族で、海の中で餌をとるときも大体は集団で泳ぎ回っています。

[苦労の多いイワトビペンギンの子育て]
彼らはごつごつした岩場にものすごく大きなコロニーと呼ばれる共同の繁殖 場を作り、一つのコロニーには数十 万におよぶつがいが巣作りをします。コロニーがあるところにはイワトビペンギンだけでなく、アホウドリや鳩も巣を作ることがあります。さす がにこれだけの数が一度に同じところに巣を作ると人口(鳥口?)密度も高く1m平方メートルあ たり1.5〜3個の巣が作られます。イワトビペンギンは新鮮な水を飲んだり、その中で水浴びすることを好むため大体コロニーは水辺の近くに 作られます。

大人のイワトビペンギンは4〜5月から10月の秋から冬の期間は繁殖地を離れて、越冬するのに必要な栄養を海に潜って取ります。その後は繁殖期になると繁 殖地へと再び戻ってきて、オスとメスは互いに鳴き合ってお互いの存在を知らせます。イワトビペンギンとつがいは大体60%ぐらい の確率で同じパートナーとペアリングし、大体2個の卵を産み落とします。またこのペンギンは毎年同じ巣を使うことが知られており、古くなっ た巣を新しい枝や岩を使ってリ フォームしなおします。

卵の大きさは一つ目の方が二つ 目のものより20〜50%小さくなっています。二つの卵は大体4〜5日の間隔を置いて産み落とされますが、親ペンギンは必ず大きい方の卵を 後ろ側において温めます。これは後 ろ側に置いた方が外敵に盗まれたり、失われてしまう可能性が低いためで、繁殖力のより強い個体を確実に育て上げることを目的とした結果となっています。ヒ ガシ及びキタイワトビペンギンの間では両方の卵が無事に育てられるという前例は知られていませんが、ミナミイワトビペンギンは条件が良いときには両方のヒ ナを育て上げることが知られています。しかし、一年あたりのつがいが育て上げるヒナの数は一 匹を越えることはありません。

卵は平均33日間温められますが、これは三段階のステップがあり、最初の第一段階ではオス、メス交代で、第二段階はメスのみが、そして最後の三段階目では オスが卵を温めます。それぞれ卵を抱いていないほうは餌をとりに行き、もう片方は餌を食べずにじっと卵を抱いて育てます。孵化した後も25日間はオスはヒ ナを温め続け、代わりにメスが海に行ってヒナのための餌をとってきます。この餌をとるための旅は非常に長距離に及び数 百kmに及びます。この間オスはメスに食べ物を与えてもらうか、絶食状態にあるのですが、ヒナのお腹が空くと胃の中にためておいた食べ物を 吐き戻して与え、これは『ペンギ ンのミルク』として知られています。その後ヒナの毛が生え変わる頃になると、ヒナは他のつがいのヒナたちと一緒に育てられ、これを『クレイシ』(託児所の意味) といいます。この頃になるとヒナは一度の食事で600gもの餌を食べるようになりますが、その旺盛な食欲を満たすため、一所にヒナを集めてその間に親達は 交代々々で餌をとりに行きます。

クレイシを作って65〜75日経過するとヒナは晴れて巣立ちの日を迎えます。巣立ったばかりの個体には黄色いマークはなく、その後羽が生え変わった若い個 体も黄色い色が薄くとさかは性的に成熟するまで発達しません。大体イワトビペンギンは4歳程度で交尾が行えるようになり、その寿命は飼育下のもので最大25歳に達します。

[気は強くてもおしどり夫婦]
イワトビペンギンはペンギンの中では警戒心が強くかなり攻撃的な気性の持ち主です。人間や 自分達より大きな動物や鳥が近づくと警戒し、巣作りをしている間は同じ種類のペンギンや隣にいるアホウドリの羽が入ってきただけで突付きまわします。しか しながらパートナーに対してはやさしく、よく互いに『アロプリーニング』と呼ばれる毛づくろいをし合います。

南アメリカ大陸の南端にある フォークランド諸島では1984年に250万ものつがいが確認され、世界最大のイワトビペンギンの繁殖地となっていました。しかしながらこ の周辺で大掛かりな商業漁業が行われるようになると食料が失われ、現在では八分の一以下の30万まで減ってしまったといわれています。現在では200〜380万のイワトビペンギンのつがいが世界中にいると いわれていますが、フォークランドに代表されるとおり、魚介類の乱獲と食料目的のペンギンの卵の略奪 によって地域によっては半絶滅状態にあります。

従ってこれまでイワトビペンギンは数が多く絶滅の危険性はないといわれていたのですが、近年絶滅の危険性がある種としてIUCNで指定 されています。フォークランドでもイワトビペンギンの繁殖地から30マイル以内の海域では魚を取らないようにという提案が行われ増したが、 残念ながらフォークランド政府はこれを拒み、現在でも数の減少は続いています。

ちょっと気の強くユニークな姿をしたイワトビペンギン君ですが、これから先も夫婦仲むつまじい子育てを続けていって欲しいと願う今日この頃です。

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