インドクジャク Indian Peafowl

豪華さなら負けません
インドクジャク画像1
綺麗な色のものが多い鳥類の中で、最も豪華で美しい羽を持つことでその頂点 に立っているの がこのインドクジャク君です

彼らを見た人は大きな羽に目が行きがちですが、その他にも頭の上にはとさかがあって、顔の部分は白く、胴体の部分も青い羽毛で覆われていて、全身がこれで もかと豪華な姿をしています。ですがこれほどすごい羽を持っているのはオスのクジャクだけで、メスはそれとは対照的に茶色い、地味な色 合いをしていてい て、喉の部分の羽が緑色になっているのが特徴です。

オスのあの扇状の羽は普段は後ろに折りたたまれており、メスに求愛行動を行うときだけ大きく広げ られます。またこの羽のことを尾羽と思っている人 が多いかもしれませんが、実際には上尾筒(じょうびとう)という腰の部分にある羽が伸びたもので す。
この羽をよく見ると全体に目玉のような模様が並んでいて、そ の間を白と黒の縞模様が走って います。

そんなインドクジャクさんですが、その名が示すとおり本来はインドやスリランカ、ネパール、パキスタン、バングラディッシュなどの南アジア原産の鳥さんで す。現地でも彼らは特別な存在で、インドでは国鳥に指定されています(ちなみに日本の国鳥はキジで す)。そしてその人気はとどまることを知らず、現在では 世界中の国々で飼育されている彼らの姿を見ることができます。

インドクジャクは適応力が比較的強い鳥で、自然界では半分砂漠のような乾燥した草原から、低い木がまばらに生える林、落葉樹林地帯など様々な地域に棲んで います。また彼らはとても食いしん坊の鳥さんで、植物の種子や果物の他にも昆虫や節足動物、は虫類、両生類などの動物性の食べ物など、ほぼ何でも食べるこ とができます。

インドクジャクはオスのほうが メスより大きくなり体長107cm体重5kgぐらいに成長します(一方のメスは体長 86cm、体重約3.4kg)。しか し、オスの場合は大きな羽のため見た目にはもっと大きく見え、羽を全部含めた体長が2mを超える者もいます。またオスはあんなに大きな飾り 羽をつけてて空 を飛ぶのに困らないのかと心配になりますが、実際にはちゃんとオスのクジャクも空を飛ぶことができます。

神の乗り物
インドクジャク画像2
インドクジャクは普段一匹のオ スを中心として、数匹(最大6匹ぐらい)のメスが含まれる小さな群れで生活しています。彼らは主に昼間に活動し、夜は木の上 に上ってそこで眠り につきます。

繁殖期になる とオスは扇状の羽を広げてメスにアピールし、交尾を行います。交尾は群れのメスすべてと行われ、メスは一日おきに卵を産みますが、一回の出産 シーズンで4〜8個の卵が産み落とされ、孵化するまで28日 ほど温め続けられます。ちなみにクジャクの卵は明るい茶色をしており、オスは子育てにはあまり参加 しません。また繁殖シーズンが終わるとオスの飾り羽は抜け落ち、次の年にまた新しい羽が生えてきます。

産まれた子供は順調に成長すればオスで3歳メスで2歳ぐらいで大人になり繁殖を行うようになりますが、 まれに両方とも一年ぐらい早く繁殖が可能になる個 体もいるそうです。

現在でも各地で人気の高いインドクジャクですが、その人気は太古の昔から続いており、古い文献を見ると彼らは古代エジプトやローマ、ギリシャ時代にはペッ トとしてすでに飼われていたことが分かっています。ギリシャ神話ではヘラという神様の家来にアルガスという百の目を持つ神 様がおり、そのアルガスが死ん だ 時に嘆き悲しんだヘラがその眼を飼っていた鳥の羽に飾り付けたのがクジャクの始まりであると言われています。またヒンズー教ではサラスヴァティーという女 神の乗り物としてクジャクが使われており、昔から彼らが神聖視されていたことがわかります。

中世ヨーロッパの時代になるとクジャクはカトリック教会のシンボルの一つとなり、また彼らの肉は特別な力があると言われ、貴族 によって好んで食べられてい ました。実際には彼らの肉は固くあまりおいしくないのですが、貴族たちはすりつぶしたあと、調味料を付けて食べていたようです。またこの時 インドクジャクの飾り羽 を料理の上に飾って、生きていた頃の姿を模した形で食卓にだしていたそうです(実際にはクジャクの肉は美味しくないので、その羽だけを飾りに使い、肉の部 分はニ ワトリやガチョウのものを代用したこともあったとか)。

クジャクをペットとして飼うにはとても広くて開けた土地か、かなり大型の鳥小屋が必要となります。また意外ですが彼らは鳴き声がとても大きいので、隣近所 が近い家 で飼うことはできません。(やはりあの見た目通り、お金持ちの人向けのペットな んですねぇ)なので普通のクジャク好きの人は、やはり動物園に行って見るの が一番良いようです。

また飼育下におけるインドクジャクは色々と品種改良されており、様々な色をした品種が毎年のように開発されています。その中でも最も有名なのがシロクジャ クで、その名の通り全身が白い羽毛で覆われているのが特徴です。

ところで自然界にはインドクジャクによく似た種類にマクジャクと呼ばれる別のク ジャクも存在しています。彼らは本来の生息地は互いに離れているため、自然界ではほ とんどで会うことはないのですが、飼育下で同じところで一緒に飼うと交配を 行い、子供を作ることが知られています。

執筆:2008年1月20日

[画像撮影場所] 東山動植物園

東山動植物園サイトバナー

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