ゴンズイ Striped Catfish
[危険なトゲトゲ]
水族館に行くと、うじゃうじゃと群れを作っているところが見られるゴンズイ君は濃い茶褐色の体に白い縞が特徴的な魚で
す。彼らはナマズの仲間ですが、池や川のような淡水でなく、海水中に棲む数少ない種類で
す。
大人のゴンズイは大体30cmぐらいの大きさになり、成長と共に特徴である縞模様は薄れていき
ます。ナマズのなかまらしく口の周りには4本のひげを持っており、体も普通の魚と違い尻尾の方向に向かって先細りする形をしています。
かわいい姿形とは裏腹に実はゴンズイの背びれと尻びれには毒を持った棘があり、
刺さるとものすご〜く痛いです。死んでしまうほどの毒ではありませんが、人によってはアレルギー反応引き起こす可能性があります。
ゴンズイはインド洋から太平洋にかけて広く分布し、日本でも千葉県に何の岩礁性の海域に見られます。彼
らは普通は海の中に住んでいるのですが河口域も見ら
れ、時には淡水中にも居るところが東アフリカ
のマラウイ湖などで記録されています。サ
ケやウナ
ギなどが海と川の間を行き来するのは有名ですが、ナマズである彼らがどうして
このような行動をとるようになったんでしょう?
[毒をもつ魚は地獄の鬼]
この魚は雑食性で、主に海底に居る無脊椎
動物や藻を食べていますが、成長すると小魚なども食べるようになります。夜行性
の性質を持っており、昼間は岩陰に隠れています。ペットとして飼われることもありますが、あまり攻撃的な正確で名にもかかわらず彼らの口より小さい魚と一
緒に飼うと食べてしまうそうです。
この魚の産卵は6〜7月頃に行われ、海底に直径10cm程の巣を作ります。巣に生みつけられた卵が孵った後、幼い子供達はオスの手によって育てられるとい
われていま
す。子供の頃のゴンズイはフェロモンの働きによって非常に密集した集団を作る性質あ
り、『ゴンズイ玉』と呼ばれる球状の群れを作るこ
とが知られいます。
ゴンズイは漢字で書くと『権瑞』となり、地域によってウルベ、ギンギ、ググ、グイ
など様々な呼び名があります。『ゴ
ンズイ』という名前の由来にはいくつかの説が考えられていますが、有力なのがその姿を元にしているというものです。神話の中に地獄に居るという『牛頭(ごず)』と言う名の鬼が
出てくるのですが、昔の人はゴ
ンズイの頭の形が牛のものに似ていると感じたらしくそこから『牛頭魚(ごずいお)』という名をつけたといわれています。これが変化して現在
の『ゴンズイ』に変化したといわれていますが、毒をもったマイナスのイメージが鬼とダブったのかもしれません。また別の説では、中部地方でくずもののことを『ゴズ』や『ゴンズリ』と呼んでおり、『屑な魚』という意味の『ゴンズイ』という名
前をつけたとも言われています。
毒をもっていて、少し怖いイメージのあるゴンズイ君ですが、天ぷらなどにするととても美味しいそうです。
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