ピラルクーは
乾季である2〜4
月にかけて砂地の上に卵を産み落とします。この時彼らは
幅50cm、深さ15cmぐらいの巣を作り、5月〜8月の水位が上昇
する時期になると稚魚がふ化します。産まれたばかりの稚魚は黒い色をしていますが、彼らの親はオスメスともに子育てに非常に熱心で、常に子
供たちのそばに
ついて見守ります。
実はピラルクーの親は頭の部分からフェロモンと言う匂いのする物質を出していると言われており、これに子供たちを常に自分たちの周りに引き付けておく効果
があると考えられています。ピラルクーの子供は食欲が旺盛であっという間に成長するということです。そしてメスのピラルクーの場合だと5歳ぐらいで
160cmぐらいになり、卵を産むことが出来るようになると言うことです。
鎧のようなうろこで覆われた巨体を持つピラルクーは大人になるとほとんど天敵となる動物はおらず、唯一ワニの仲間である
メガネカイマンに時折襲われる
こと
があるぐらいです。またピラルクーはアマゾン川流域にすむ人々にとって重要な獲物であり、
その肉はもちろん他の部位も様々な方法で
利用されています。
一匹のピラルクーからはなんと
70kgもの肉が取れると言われており、なおかつそのお
味は
大変美味である
そうです。伝統的な漁の方法では呼吸をしに水面に
上がってきたところを棍棒で頭を殴って殺し、さらに森でついて水の上に引き上げます。
一方で彼らの
最大6cmに達する大きなうろこは
爪を磨くためのやすりや靴べらと
して使われます。また骨のある
舌はガラナの実と一緒にすりつぶして水で飲む
ことにより、お腹の中の寄生虫を殺す作用があると言われており、地元の人々には民間療法的な薬として使われているそうです。
またその巨体と肉の美味しさのため、彼らは釣り人の間では非常に魅力的な獲物であり、
はるか遠く
東南アジアのタイヤマレーシアの川にも持ち込まれています。
冒頭にも述べたとおり、かつては3mに及ぶ大型の個体が見られたピラルクーですが、
近年は網を使った大規模なの漁によって数
が減少するとともに、そのサイ
ズも小型化しており、2mを超えるものはま
れだと言うことです。ワシントン条約で保護動物に指定されていますが、現在でも食用として狩られており、その数は減少し
ていると考えられていて、ブラジル政府はピラルクーの漁獲量を維持するため漁の期間を制限したり、1.5m以下の小さなものを狩ることは禁じています。
執筆:2007年11月25日
[画像撮影場所] 須磨海浜水族園