ピラルクー Arapaima

世界最大の淡水魚? アマゾン川の主
ピラルクー画像1
ピラルクーは南米大陸に広がるアマゾン川流域に生息してる、 大型の淡水魚です。彼らの身体の大きさは最大のもので全長3m(一説には4.5mに達するとも)、体重200kgに達すると いわれており、オオナマズなどと共 に世界最大級の淡水魚の一つと して有名です。

彼らは主に濁った流れの緩やかなところに見られますが、急流の中にも居ることがあり、広大なアマゾン川を完全に我がもの顔で泳 ぎまわっています。現地の人 たち以外で最初にピラルクーを見つけたのはフランス人のジョルジュ・キュヴィエという 学者さんで、1817年のことだと言うことですが、こんなインパクトの ある魚を最初に見た時はさすがに驚いたでしょうねぇ。

また彼ら の棲む流域は濁っていて酸素が少ないところが多くありますが、彼らは水面に顔を出して空気を吸い込むこ とにより、空気中の酸素を得ることができます。この ような能力は他の魚にはないものですが、彼らの喉の内側のうきぶくろには肺のような構造があり、これを使って呼吸をすることが出来ると 言われています。この ためピラルクーは10〜20分 ごとに一回呼吸のために水面に上がってきます。またこのため乾期になって水が少なくなっても、泥や砂の中に体を潜らせた状態 で空気を吸うことにより生き延びることが出来るそうです。

そのまるで古代魚のような姿が印象的なピラルクー達ですが、コロンビアなどの地層で見つかったピラルクーの化石は、1億年も前からほとんど現在のものと同 じ姿をしており、このことから彼らは「生きた化石」と呼ばれていま す。

彼らの体は細長い体形をしており、背びれや尾びれ、そして尻びれはすべて体の後方に集中していて、これは獲物を取るときに素早く突進するのに都合が良いと いわれています。また彼らの体の色は緑や銀、黒など様々ですが、大人のピラルクーは体の後ろ半分が赤くなります。

彼らの主な食べ物は同じ川に住んでいる他の種類の魚たちですが、時には鳥など魚以外のの小型の動物もその大きな口で周りの水ごと一呑みにしてしまいます。 ピラルクーのはやすりのような突起が無数に並んでいて、内部に骨が通った構造をし ていますが、口 に入った獲物はこの舌で粉々にすりつぶされてから飲みこ まれます。このため彼らが魚を飲みこむとばらばらになったうろこがあたりに飛び散るそうです。さすがにアマゾンの主だけあって、その食べ方 も豪快です。

とても美味しいらしいけど?
ピラルクー画像2
ピラルクーは乾季である2〜4 月にかけて砂地の上に卵を産み落とします。この時彼らは幅50cm、深さ15cmぐらいのを作り、5月〜8月の水位が上昇 する時期になると稚魚がふ化します。産まれたばかりの稚魚は黒い色をしていますが、彼らの親はオスメスともに子育てに非常に熱心で、常に子 供たちのそばに ついて見守ります。

実はピラルクーの親は頭の部分からフェロモンと言う匂いのする物質を出していると言われており、これに子供たちを常に自分たちの周りに引き付けておく効果 があると考えられています。ピラルクーの子供は食欲が旺盛であっという間に成長するということです。そしてメスのピラルクーの場合だと5歳ぐらいで 160cmぐらいになり、卵を産むことが出来るようになると言うことです。

鎧のようなうろこで覆われた巨体を持つピラルクーは大人になるとほとんど天敵となる動物はおらず、唯一ワニの仲間であるメガネカイマンに時折襲われる こと があるぐらいです。またピラルクーはアマゾン川流域にすむ人々にとって重要な獲物であり、その肉はもちろん他の部位も様々な方法で 利用されています

一匹のピラルクーからはなんと70kgもの肉が取れると言われており、なおかつそのお 味は大変美味である そうです。伝統的な漁の方法では呼吸をしに水面に 上がってきたところを棍棒で頭を殴って殺し、さらに森でついて水の上に引き上げます。

一方で彼らの最大6cmに達する大きなうろこ爪を磨くためのやすりや靴べらと して使われます。また骨のあるガラナの実と一緒にすりつぶして水で飲む ことにより、お腹の中の寄生虫を殺す作用があると言われており、地元の人々には民間療法的な薬として使われているそうです。

またその巨体と肉の美味しさのため、彼らは釣り人の間では非常に魅力的な獲物であり、はるか遠く 東南アジアのタイヤマレーシアの川にも持ち込まれています。

冒頭にも述べたとおり、かつては3mに及ぶ大型の個体が見られたピラルクーですが、近年は網を使った大規模なの漁によって数 が減少するとともに、そのサイ ズも小型化しており、2mを超えるものはま れだと言うことです。ワシントン条約で保護動物に指定されていますが、現在でも食用として狩られており、その数は減少し ていると考えられていて、ブラジル政府はピラルクーの漁獲量を維持するため漁の期間を制限したり、1.5m以下の小さなものを狩ることは禁じています。

執筆:2007年11月25日

[画像撮影場所] 須磨海浜水族園

須磨海浜水族園様リンク

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