オオウミガ ラス  Great Auk
【北極のペンギン】
オオウミガラス画像1
オオウミガ ラス
[画像提供元]
古世界の住人様
 愛嬌のある姿が人気のペンギ ンは現在地球上に16種類が分布しているといわれています。しかし彼らは全て南極および周辺のもので、北半球には一種類も棲んでいません。 しかし、昔19世紀の半ばまで 北大西洋にオオウミガラスと呼ばれるペンギンが数多く存在し ていました。

 このオオウミガラス君は全長約80cm、体重5kg程度の大きさで、小さく退化した羽とでっぷりとしたおな か、水かきの付いた脚をもっているその姿は正 にペンギンそのものです。しかし彼らは実はウミスズメと呼ばれる海鳥の仲間で、現存するペンギン達とは全く異なる種に属しています。

 オオウミガラスは現在のペンギンと同じように海に潜って魚を取る生活していました。従っ て同じように海での生活に適応 した結果、羽が退化して飛べなくなる代わりに、泳ぐのに適した体形と、水かきを持った脚を手に入れたと考えられています。このことは同様に 陸から海へと進化したクジラたちにも言え、彼らも環境に適応した結果、同じように海に住む魚たちに似た姿形へと変化しました。(このように同じ環境下で そっくりな姿になることを『収斂 (しゅうれん)進化』といいます。)

 彼らの生息地は北大西洋の幅 広い島々に分布しており、主にカナダ東岸のニューファンドランド島の東にあるファンク島を中心に、アイスランドやイギリスのスコットラン ド、グリーンランド、ノルウェーなどの地域の沖にある島々に生息していました。

 もともと『ペンギン』という 名前は、この地方に訪れたヨーロッパの船乗り達がオオウミガラスにつけた名前でした。更にその呼び名が後の時代に発見された、オオウミガラス達と姿がそっくりな現在の ペンギンたちにも用いられたといわれています。『ペンギン(penguin)』と いう言葉の語源には諸説がありますが、一つは“ペン型の羽を持った(pen- winged)”という言葉をもとにしたという説で、もしくはオオウミガラスの顔にある白い模様を指して“白い頭”を意味するウェール ズ語の“pen gwyn”か ら来ているとも言われています。その他に“羽を切られた”という意味の“pinioned”が最初で あるとも言われていますが、語源がなんにせよオオウミガラスこそが『元祖ペンギン』であることには間違いがないよ うです。

ペンギン画像
現在のペンギン
(フンボルトペンギン)
【オオウミガラスの子育て】
 オオウミガラスの生態については数々の文 献が残っており、また考古学的な調査や現存する標本の研究から多くのことが分かっています。

 彼らは主に北大西洋各地を回遊しており、普段は海の上で魚を取って生活をしているのですが、繁殖期になると周辺の島々を 繁殖場所として利用しました。繁 殖 の時期は地方によってある程度異なり、大西洋の北東側に当たるスコットランド西部などでは5月の初旬から半ばにかけて交尾が行われ、6月半ばまで島の岩場 に繁殖地(コロニー)を作って子育てをしていたといわれています。また、大西洋の西側のニューファンドランドなどではそれより一月ほど遅い 6月頃からで、これらより北に位置するアイスランドなどでは8月が繁殖を開始する時期であったと言われています。

 彼らの巣は主に平坦な岩場に作られ、時として海から100m以上も内陸になることもありました。オオウミガラスが餌をとりに海に出るのは結構ダイナミッ クで、時として4m以上もの高さから海へと飛び込んだといわれています。

 彼らは雄雌共に子育てを行 い、卵は代わる代わる温められていたと考えられています。オオウミガラスは露出した岩の上に直接卵 を産み落としていたことが知られています。彼らは現存するペンギンに似た直立した姿 勢で卵を抱いていたと考えられており、一度に育てられた卵の数は一つだけでした。オオウミガラスの卵は洋ナシ形をしており、長さ12cm、 重さ320g程度でクリーム色に近い白地に青みがかった斑点や筋模様が描かれていました。この卵は現存するウミスズメの仲間であるオオハシウミガラスやウ ミガラスのものに似ています。

 これまで確認されているオオウミガラスの卵は模様のバリエーションが豊富で、それぞれの卵ごとに異なっています。これはオオウミガラスのコロニーには非常 に多くの個体が一度に産卵を行うため、親鳥が自分の卵を他のものと間違えないようにするためであると考えられています。生まれたばかりのヒ ナについては記録が残っていないためその詳細は良く分かっていませんが、卵の大きさからすると大体親鳥の20分の1程度の240gの重さがあったと考えら れています。

 現存するオオハシウミガラスは子育てにおいて主にカラフトシシャモという魚を餌として用いています。オオウミガラスについてもその繁殖行動がカラフトシ シャモの回遊に沿っていることから、同様にこの魚を餌として子供に与えていたと考えられています。オオハシウミガラスは子供に大体親鳥の体重の3%ぐらい の重さの餌を与えますが、これと同程度の餌を与えたとするとオオウミガラスは150g程度の魚が必要 になります。このような大量の餌を親鳥のクチバシの中に入れて運ぶには無理があり、従ってオオウミガラスは現在のペンギンと 同様に一旦飲み込んだ餌を吐き戻して子供に与えていたと考えられています。しかしながら本当にそんな行動をとったのか疑問視する声もあり、 議論が分かれています。

 卵から孵化した後、オオウミガラスのヒナは12〜18日(もしくは9〜10日)の間コロニーの中で育てられ、その後体重が1250gぐらいになると、他のウミスズメと同様に海へ出て、そこ で過ごすようになります。コロニーにおけるヒナに関する記述はほとんど残されておらず、その頃のヒナの標本もほとんど残されていないことか ら、オオウミガラスのヒナは孵化した後はすぐに海へ入ったと考えられています。

 海へ出た後も、親鳥と一緒にヒナが居るところが目撃されており、海の上でも親子中むつまじく過ごしていたと考えられています。ある記述の中には、親鳥が背にヒナを載せて魚の居るところま で連れて行ったといわれています。


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