ミツユビアンヒューマ
 Three-toed amphiuma


ミツユビアンヒューマ画像
[陸に住むウナギ?]
ア メリカ合衆国の南東部にはアン ヒューマという一風変わった両生類がすんでいます。アンヒューマには三種類が知られており、 その中でミツユビアンヒュー マは 1mに及ぶ長い体を持っており、海に住んでいる『ウナギ』にそっくりな姿をしています。しかしウナギとは異なり、体の前後にほとんど退化してしまってい る小さな 脚が合計4本ついています。三種類のアンヒューマは全てこの脚の先にある指の数が異なっており、ミツユビアンヒューマはその名が示すと おり、三本の小さな 指を持っています。(ちなみに残りの二種には一本のものと二本のものがいる。)アメリカではウナギのほかに『アナゴ』の愛称で親しまれ ています。

ミツユビアンヒューマは主にミシシッピー川やテネシー、ミズーリ川周辺やオクラホマ、テネシー、アーカンソーなどのアメリカ南東部の州の、沼地や湿地、流 れのゆるい川などに棲んでいます。背中の色は濃いこげ茶色ですが、それに対し腹側は明るい灰色をしています。また、眼は小さて目立たなく、まぶたもありま せん。

彼 らの生活は夜行性で あり、日中は岩の下や草のかげに隠れています。夜になると餌を求めて巣からはい出してきて、イモムシや昆虫、小魚やヘビ、カエル、 さら には自分より小さなアンヒューマまで食べてしまいます。かなり食欲は旺盛で、性格も荒いそうです。しかしながら彼らにももちろん天敵は居 て、特に大型のヘビは非常に脅威と なっています。歯がとても鋭く、大人のミツユビアンヒューマはかむ力が強いので、触れるときには噛み付かれないよう注意す る必要があります。ちなみに飼育されているアンヒューマは『キャットフード』なんかも 食べるそうです。(ほんと、何でもいいのね…。)

[白亜紀のアンヒューマ]
上 にも述べたとおり、ミツユビアンヒューマはカエルやサンショウウオと同じ両生類の仲間で、子供の頃は三対のエラを持っており、そ れを使って呼吸をしていま す。この子供のときに持っているエラを外鰓(がいさい)といいま すが、大人になると三対のエラは失われてしまい、一対のエラの後のみが残されます。(この エラの名残のことを鰓穴(えら あな))といいます。大人のミツユビアンヒューマはエラ呼吸は行わず、その代わりカエルと同じように肺を使っ て呼吸をし、そのときは水面から定期的に鼻を突き出して息を吸うことが知られています。

ミツユビアンヒューマは冬から春にかけて交尾を行いますが、オオサンショウウオなどとは異なり体内受精を行います。メ スは沼地の木や岩の陰になった部分にカエルの様に一本のひも状に連なった卵 を産みつけます。一回の産卵で産み落とされる卵の数は大体150個程度で、 その大きさは8.5mm程度です。
卵はカエルのように産みっぱなし出は無く、孵化(ふか)するまでメスによって保護 されます。産卵から5ヶ月ぐらいすると卵はかえり、生まれたばかりの子供のアンヒューマ の大きさは5cm程度で、その後成長して7.5cmぐらいになると変態を行い、大人のアンヒューマの体へと変わっていきます。

現在確認されているアンヒューマはアンヒューマ(Amphiuma) 属に属する三種のみですが、か つては彼らと近縁な種が存在していたことが判明しており、これは別個のProamphiumaに分類されています。こ の種の化石は白亜紀の 地層から見付かっており、現存のアンヒューマたちとほぼ同じ形をしているのですが、今のものに見られる脊椎周辺の筋肉の構造が発達していないことから直接 的な先祖ではないと考えられています。またアンヒューマの変わった特徴として、その血液中に含まれている酸素を運ぶ役 割を果たす赤血球の大きさが他の動物のものと比べて大きいことが知られています。

あまり、日本では馴染みのないアンヒューマ君ですがアメリカ等へ海外旅行に行って出会ったときには、彼らのちょっと変わった生態を思い出してみると面白い かもしれません。

[画像提供] 株式会社ナレッジリンク様 ナレッジリンク様リンク

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