オオサンショウ ウオ Giant Salamander

我が日本の誇る世界最大の両生類
オオサンショウウオ画像
オオサンショウウオ世界最大の両生類であり、日本の本州の西部と北九州の山間部の川 に生息しています。中国大陸にも近縁の種が居り、日本のものをニホン オオサンショウウオ、中国のものをチュウゴクオオサンショウウオ(タイリクオオ サンショウウオ)と呼びます。また、更に北アメリカに居るアメリカサンショ ウウオとも同じ仲間であるとも言われています。結構ワールドワイドな彼らです。

その中でもニホンオオサンショウオは最大の種であり、一般的には全長 40〜70cmですが、最も大きかったものは広島県で見つかったメスで全長150.5cm、体重は27.6kgも ありました。この標本は1993年に保護 され、高宮エコミュージアムで2002年7月まで飼われていましたが、死んでしまったため、現在は広島市安佐動物公園にホルマリン漬けの形で展示されてい ます。

オオサンショウウオの外見は偏平で大きな頭に大きな口が付いており、寸胴な胴体と長くて太い尻尾を持っています。体色は背側が濃い茶色で、腹側はそれより 明るい色になっています。体の両側には肉質のひだが付いており、頭にはいぼが付いています。子供の頃はカエルの子供であるオタマジャ クシと同様にエラを 持っているのですが、成長と共にふさがってしまいます。同様に眼も大人になると小さくなってしまい、目立たなくなります。

チュウゴクオオサンショウウオは中国の黄河や長江、珠江の支流に住んでいますが、日本のものよりやや小さめです。

清流と共に
瑞穂町画像
オオサンショウウオは冷たく澄んだ標高300〜700mの山間の急流に住んでおり、岩陰などに隠れています。また幼生は比較的流れの緩やかなところで、石 の下や落ち葉などに見られます。基本的に夜行性であり、昼間は土手の傍の穴や岩陰に隠れています。主な食性はカニや魚などの小動物で、時にはカエルやヘ ビ、ネズミも食べ、ちょっとのんびりした彼らのイメージからは想像できません。

オオサンショウウオの生息には澄んだ水が必要不可欠ですが、護岸工事やダム建設などにより各地の生息地が脅かされています。特に幼生は環境の変化に敏感で あり、水温や水位、水質の変化などにより影響を受けてしまいます。現在、オオサンショウウオの個体数は減少しており、レッドデータブックでは絶滅危惧第U 種に指定されています。日本の中でオオサンショウオの最も主要な繁殖地は島根県の瑞穂町羽須美村や大和村ですが、これらの地 域ではオオサンショウウオを守 るため非常に水質に気を使っており、島根県随一の清流となっています。

産卵期は水温が最も高くなる8月の終わりごろから9月の初旬にかけてで、この頃になるとオオサンショウウオは川の上流へと移動します。産卵の様子は前述の 安佐動物公園で観察されており、「ヌ シ」とよばれる大きなオスが巣穴に入った後、メスが同じ巣穴に他の小さなオスを引き連れてやって来て、おおよそ 500〜600個の卵を2〜3時間かけて産み落とします。その後ヌシを含めたオスがメスの産み落とした卵に精子をかけます。その後ヌシであるオスのみが卵 を守るため巣穴の中に留まり、50〜60日後に幼生が孵化します。生まれた幼生は3〜4年後、20cm程度になると生態へと変態します。飼育下ではオオサ ンショウウオは70年以上生きるといわれており、両生類とは思えない長寿命を誇ります

海を渡ったオオサンショウウオ
オオサンショウウオは古くからいろいろな文献に見ることが出来、我々日本人にとっては馴染み深い動物です。オオサンショウウオの別名は「半裂き(ハンザ キ)」といい、古くは「波 之加美以乎(ハジカミイオ)」と呼ばれていました。サンショウウオ(山椒魚)という語源は、彼らの肌から取れる粘液のにおいが山 椒(波之加美)に似ていることから来ています。また、半裂きという別名は、半分に裂いても死なないという伝説を元に していると言われています。日本のオオ サンショウウオの記録が残った最も古い文献は延喜18年(西暦918年)に記された「本草和名(はんぞうわみょう)」という本です。かつて の山の民にとっ てオオサンショウウオは貴重なタンパク源であり、中国でも珍味として珍重されたりや伝統的な漢方薬として用いられていました。更に昔は妊娠中の女性に元気 な子供を生むため、彼らの卵が処方されていたといわれています。

かつて日本に来たシーボルト(Philip Franz Von Siebold)は、今日の岐阜県でオオサンショウウオを捕まえオランダへと送りました。当時のヨーロッパではオオサンショウウオの化石は見つかってお り、世界のどこかにまだ生き残っているのではないかと科学者は考えていました。そこにシーボルトによってもたらされたニホンサンショウウオは、見事この説 を裏付けるものとなり、オランダの川で80年程度生きたといわれています。

   オオ サンショウウオ関連のトピックス
昨年10月愛知県蛇ヶ洞 川で行われた生息調査において目撃された巨大オオサンショウウオですが、2月10日に行われた再調査でついに捕獲に成功しました。体の長さこそ、蛇ヶ洞川の最高記録 の102cmには及ばない89cmでしたが、体重はこれまでの最重量記録である6.5kgを大きく上回る8.05kgもあり、まぎれもなく知られている中で最大の個体であったということです。このサンショウウオ にはチップが取り付けられ、今後も生態調査がなされる予定だそうです。
2008年2月19 日 毎日新聞

広島県安佐動 物園 で飼育されているオオサンショウウオの卵の孵化が確認されたそ うです。両親であるオオサンショウウオも両方とも同園で産まれたもので、 飼育下で生まれたオオサンショウウオ同士の出産はなんと世界初! 卵の数は約800個もあったそうです。
2007年10月25 日 中國新聞

先日生息調査が行われた愛知県瀬戸市半田川町の蛇ヶ洞 川で、巨大なオオサンショウウオが生息しているのが確認 されました。残念ながら捕獲しようとしたところ逃げられてしまったのですが、これまでの蛇ヶ洞川の記録であった102cmのオスよりも一回り大きく、来年にも再度捕獲 作戦が試みられる予定だそうです。
2007年10月14 日 中日新聞

愛知県瀬戸市半田川町の蛇ヶ洞 川でオオサンショウウオの生息分布調査が行われました。こ の川はオオサンショウウオの生息域の中で最も東に位置するらしく、これまでに45個体の生息が確認され、生まれたばかりの幼生も発見されたそうで す。これにより、オオサンショウウオは蛇ヶ洞川で継続的に繁殖しているこ とが確かめられました。また発見されたオオサンショウウオにはマイクロチップが装着され、個体の識別に用いられるそうです。
2007年10月11 日 毎日新聞

(最新改訂2007年10月25日)

[画像提供] 株式会社ナレッジリンク様

 

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